1870年頃

無限

G.カントール1845-1918

カントール>無限の数え方を知ってるかい?

ソフィー>普通の数え方ではとてもできないわ。

カントール>まず集合を有限集合を無限集合にわけるところから始まるんだ。

有限集合のついては1個、2個と普通に数えればいいのだが、無限集合は濃度というもので表される。

 

ここで面白い例え話をしよう。

ある宇宙空間に「無限ホテル」という浮遊ホテルがあるとする。その名の通りこの空間を通る宇宙船の乗組員を無限に宿泊させられるというのだ。

しかし、今日は1号室から2号室、3号室…。−と全て満室になっていた。

運悪くそこに一人宿泊客がやってきてしまったのだ。さて、君はフロントのマネージャーだ。この宿泊客にどう対応する?

ソフィー>普通なら、あいにくですけれども−と断るしかないわね。でも、無限の客室が満室なんてそもそも設定がへんよ。

カントール>僕なら、1号室の客に2号室へ移動してもらう、そして2号室の客に3号室へ移動してもらう。これをどんどん続けて、1部屋あければいいわけだ。

ソフィー>なんだか詭弁みたいだわ

カントール>いや、これは無限の概念をつかんでもらう、とてもいい例え話なんだ。それから、大小さまざまな無限についてだ。

ソフィー>それは、大きい無限と小さい無限があるってこと?また例え話をしてもらいない?

カントール>先ほどの満室の無限ホテルに今度は無限の宿泊客がやってきてしまった。どうする?

ソフィー>そりゃ、1号室の客に無限に移動してもらって、2号室の客にも無限に移動してもらって、無限の空き室を作ればいいんでしょう?

カントール>それでもいいけど、無限の大小について絡めて説明しなくちゃならないよ。

ソフィー>フロント・マネージャーは降参します。

カントール>答えはこうだ、まず一号室の客に2号室へ移動してもらう。ここまではさっきと同じだね。次に2号室の客には4号室へ移動してもらう、次に3号室の客には6号室へ移動してもらう、これを続けるわけだ。どういう意味か分かるよね?

ソフィー>わかったわ、つまり、奇数の部屋の客には偶数の部屋へ移動してもらうのね。そうすると、無限個の奇数号室が空くから、ここに入ってもらうのね。

カントール>お見事!立派なフロント・マネージャーだ。

ソフィー>こうすると、奇数は正数の半分でしかないから、無限個の奇数の部屋数は、無限個の全体の部屋数より小さいことが分かるわね。つまり、無限には大小があるんだわ。

カントール>常識ではね。

ソフィー>こんなひねくれた質問になにが「常識ではね」よ。

カントール>でも、ここで無限の考え方では、ここでまたまたひねくれる。「部分は全体に等しい」場合がありえるんだ。

ソフィー>へんなの!

カントール>例えば、無限集合の4分の1をとりだすと、その集合はやはり無限だ。最初の濃度とは違うけど、無限=無限で部分は全体に等しいってわけ。

ソフィー>うーん。フラクタル構造で無限に入り組んだ世界では、数学的にも部分と全体が等しいといえるってことになるのかな?それってホロンみたいじゃない。

カントール>でもこれは数学的に正しいんだ。でも納得しなくてもいいんだよ、「数学上の結果と物理的な現実とは違う」んだ。

ソフィー>なら最初からこんなややこしい考えする必要も無いんじゃないの?

カントール>そう、そこが重要だ。ややこしい考え方をしても無駄だということを分かる為には、その前にこのややこしいやりとりが必要なんだ。

さて、僕はこの無限とややこしい対話をしているうちに、妙なことに気が付いた。

それが連続体仮説だ。

 

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