時間の非可逆性

 

ニュートン系では太陽系を逆に回転させても万有引力の式は成り立つ。

光をプリズムでスペクトル拡散させても、もう一度プリズムと通せばもとの光になる。

このことから時間は可逆であるとされていた。

しかし19世紀に入り物理学の焦点が力学から熱力学に移り、エントロピーの第2法則が論壇にあがるようになると、機械的世界観の立場から時間の不可逆性を打ち出した。

エントロピーが低い方が過去、高いほうが未来というわけだ。

こうしたことを物理では「時間の可逆性」、「時間の対象性」などというが、時間は決して戻らない。映画スーパーマンでスーパーマンが地球を逆回転させて、死んだヒロインを生き返らせてしまうシーンがあるが、現実の世界ではありえないのである。あったのは「回転の可逆性」と「拡散の可逆性」であり「時間の可逆性」ではないのである。

その後の研究で、時間を不可逆だとする人たちが2つに分かれた。

時間とともにエネルギーは組織だった構造を失っていくとした考えと、時間とともに組織化していくといった考えの違いである。

その前者に入るのが散逸構造論だ。

そもそも時間など存在するのか?プロセスと存在の実否は別次元の問題である。

まるで光の存在の古典問題を無視してない?

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「確実性の終焉」時間と量子論、2つのパラドクスの解決 イリヤ・プリゴジン The end of Certainty Ilya Prigogine 1997年 (訳:安孫子誠也、谷口佳津宏 1997年) みすず書房 確実性の終焉―時間と量子論、二つのパラドクスの解決

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