*プレクティクス 1994年 マレイ・ゲルマン(1969年ノーベル賞者)

そもそも量子論と複雑系は学問的方向性が全く違うのではありませんか?
 クォークの父、ノーベル賞物理学者のマレー・ゲルマンによると2つ関係を下記のように述べています。
これはマサチューセッツ工科大学のアラングース教授の「最近ゲルマンは物理学の分野から逃げてしまい、私にはさっぱり分からない(複雑系)ことをやっている。」の批判に対して述べたコメントです。
 以下ゲルマン
「私はこの分野を複雑系と呼んでません。私は”プレクティクス(plectics)と呼んでいる。これは私が1984年に考え出した言葉です。ラテン語の語源のシンプルとコンプレックスの意味に相当する語を合成したものです。つまり、この一つの研究は単純さと複雑さの両方を研究する意味があるのです。」
  
1994年にゲルマンは「クオークとジャガー」という本を出版しました。
クオークは単純なものの象徴として、ジャガーは複雑なものの象徴としてその題名がつけられているのですが、その本の中で、ゲルマンは自説のプレクティックスという言葉を使わずに複雑系という言葉を使っています。
どうも、まわりの人の「複雑系」と書いた方が、一般に理解されやすいと”アドバイス”されて言葉を置き換えてしまったのです。
このことをゲルマンは大変悔やんで「自らの言葉プレクティックスを広めるようにするべきだった」と言っています。
 
世界最高峰の科学者すら巻き込んでしまう「言葉のパワー」は恐ろしいものがありますね。
ゲルマン>科学は階層をなしている。
第1の階層は宇宙の全てに通じる法則だ。つまり、熱力学やクオーク理論などだ。
第2の階層は地球でしか通じない法則だ。例えば、生物学などだ。
第1の階層には偶然が入り込む余地はない。しかし第2の階層には歴史的な偶然が非常に複雑に含まれる。もちろん自然淘汰の圧力もかかる。何かの偶然で我々が全く違った人類になった可能性さえあるんだ。
 
 
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155 「 クォークとジャガー」 マレイ・ゲルマン The Quark and the Jaguar Murray Gell-Mann 1994 年 (訳: 野本陽代 1997 年) 草思社