インド仏教はなぜ亡んだのか
保坂 俊司 (著)

プラトは信者ではないが、一応教養として。

仏教発祥の地、インドで一時はあれほど全土を覆いつくしていた仏教はなぜイスラムにとって変わられたのか?

ずっと不思議だったので、このテーマの本を探し出した。

著者は“インド仏教衰亡の研究は、仏教という一宗教の衰亡という単純なものではなく、仏教を中心に構成された社会集団を含めたトータルな存在、つまり仏教文明の衰亡ということになる。”と指摘する。
 

”インド仏教は、ヒンドゥー教への対抗勢力として支持を受けたが、イスラム教という抗ヒンドゥー教勢力の出現により、仏教がインド社会で担っていた役割が不安定となり、やがて、より強力な抗ヒンドゥー教勢力であるイスラム教にその地位を奪われた。”という結論を想到する。

従来の仏教学の方法論に飽き足らず、 人類学・比較文明論などを幅広く援用しながら、 インド仏教滅亡の謎を解こうとする著者の視点は きわめて斬新なものであると言える。