バイオフィリア

警戒

E.O.ウイルソン

 

自然科学と人文科学、生物学と文化の断絶は、「蛇(サーペント)現象」とでも呼ぶべきものにっよってドラマティックな形で橋渡しされる。                          

 蛇は、ほぼどの国の解釈でも恐怖と醜悪のシンボルとして忌み嫌われる。生まれてこの方、蛇など見たことすらない、都会でもその、象徴的意味は生き続け、ここに自然の要素が文化的シンボルへと翻訳されていくプロセスを見て取ることができる。  

 こうした偏向(バイアス)のかかった先入観意識は私たちの中に潜み、私たちの精神を狭い領域に押し込んでいる。ときおり、意味もなく嫌悪したり、攻撃的になったりするのもそのせいだ。  

 私たち人間は、消滅した世界の森の中に今でも暮らしており、未だに警戒を解かずにいるのである。

→恐怖の遺伝子(ダーウィン)

 

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