HOME =心理学研究法(‘03)=(TV 〔主任講師: 南風原朝和(東京大学教授)〕 〔主任講師: 市川伸一(東京大学教授)〕 〔主任講師: 下山晴彦(東京大学教授)〕 全体のねらい 心理学は人の心や行動について、単に頭の中であれこれ考えるだけでなく、調査や実験、あるいは実践を通して現実のデ ータとつき合わせながら、実証的に知識を構築していく学問である。この講義では、研究者を志す学生だけでなく、自分自 身や他者の心や行動について、より客観的に、より深く理解したいという思いをもつ幅広い層の学生を対象に、心理学研究 法の基本的な考え方と具体的な方法に関する入門的解説を行う。 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
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心理学の研究とは 心理学の研究とは何をすることなのかについて、まず概論 的説明を行う。心理学が文学や哲学と異なるのは、実証的方 法をとるということである。行動的データを収集し、それを 説明する構成概念として「こころ」を考えるという方法論を とることによって、心理学はその対象を大きく広げてきたこ とを、いくつかの研究例を通じて示す。 市川伸一 ( 東京大学 教授) 市川伸一 ( 東京大学 教授)
人間の心をどうとらえるか 図形パターンへの注視時間  
文学も哲学も心理学も人間の心について考えることであるが、アプローチが違う    
    fMRI
ねずみは何回が同じ迷路に入れると、早くゴールにいく 突然ひらめきバナナが採れる。 最近では直接脳の活動部位をみれるようになり、心理学に導入されている。
     
     
     
 
     

2 心理学の歴史と 研究法の分類 現在、心理学は、多様な領域に分化し、発展している。心 理学の歴史を概観することを通して、研究法を調査、実験、 実践の3つのタイプに分類する意義を解説し、多様な心理学 を整理して理解する枠組みを提示する。 下山晴彦 ( 東京大学 教授) 下山晴彦 ( 東京大学 教授)
心理学の起源 心理学の系譜 科学的心理学 フェフナー
ライプチッヒ大学1879「ヴント」科学的な方法で哲学から独立した。   精神物理学の創始者
心理学の父 ヴント    
     
  初期近代心理学のトライアングル 日本における心理学の受容ルート
批判を非常に受けて発展した。 心理学は時代的に現場から必要性を要請されていた  
明治中期以降における日本の心理学 大正初期の日本の心理学の特徴 昭和戦前期における日本の心理学制度化
     
     
  55もある。分類法の混乱事態がある。研究方法と研究内容の基準が  
     
     
     
    現実の範囲を決めて、変数と変数の関係を見る。現実を切り取る
     
 
枠をはめずに。いずれも現実には、はいりこまない 現実にかかわり、現実を変えていこうとする  

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質的調査の考え方 とデータ収集技法 叙述形式の質的データを収集し、その分析を通して現実を 理解するための概念や仮説を産出する質的調査の理論と技法 を解説する。また、質的調査法の導入として、データ収集の ための面接法や観察法の解説も行う。同上同上
  質的調査 質的データー 質的研究の目的
     
     
     
論理的実証主義 社会構成主義  
    心理学は帰納法から脱することができるか?
     
     
面接法の種類 フィールドワーク  
 
     

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質的データの分析

質的データの分析方法に関して、より手続き的なところに 焦点をあてていく。様々な分析法が提案されているが、ここ では、データを読み、選択し、概念化し、さらにそれをまと め、統合するという基礎的な分析の段階をとりあげ、各段階 における留意点について具体例を交えながら解説を行う。 能智正博 (東京大学助 教授) 能智正博 (東京大学助 教授)

     
     
     
     
     
     
     
     
     
  一般論では、言葉がwからナイト家族から隔たりが起こる しかし、ケースでは言葉がでkなくても、家族とのつながりになる倍いもある。これがネガティブデーター(一般仮説と違う)これは、仮説をより詳細にするために使われる

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質的調査の実際と 研究評価 質的調査では、目的に応じてさまざまな技法を用いること になる。そこで、さまざまな質的調査の方法を整理し、それ が実際にどのように使われるのかをエスノグラフィーの研究 論文を例に説明する。また、質的研究の評価基準についても 解説する。 下山晴彦下山晴彦
     
     
     
     
     
     
     
  カテゴリーヲ得るとういうのは、目に見えない意味構造を可視化する。最終的なひらめきが研究者の個性  
     
    各点の位置がかわらないのに、ジクおとりかたで変わる。
良い研究とは    
     
     
     
     
   
     

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量的調査による仮 説検証 量的調査とはどのようなものか、量的調査によって検証さ れる仮説にはどのようなタイプのものがあるかを述べ、具体 例を用いて量的調査による仮説検証の流れを解説する。また、 量的調査で必要となる統計的指標について、相関係数を中心 に解説する。 南風原朝和 ( 東京大学 教授) 南風原朝和 ( 東京大学 教授)
     
     
     
  相関関係がミツカッテモ原因はわからない。向上心が強いからギャップがある。  
     
     
     
     
     
   
     

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質問紙による研究 量的調査におけるデータ収集の代表的方法である質問紙 (調査や検査など)を取り上げ、その特徴を紹介する。また、 これらの測定道具を実際に作成する手順について解説すると ともに、実施および利用上の留意点についても具体的に述べ る。 平井洋子 ( 東京都立 大学助教授) 平井洋子 ( 東京都立 大学助教授)
     
     
     
     
     
     
     
     
     
 
     

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信頼性と妥当性

質問紙や検査によって収集されたデータに基づいて、個人 の能力や性格特性などを推測したり、心理学的な研究仮説を 検証したりするためには、その測定データが良質なものでな ければならない。ここでは、測定の「質」をあらわす信頼性 と妥当性という概念を取り上げ、その意味および評価の方法 について解説する。 平井洋子平井洋子

     

     
   

測定誤差の源

     
     
     

信頼性係数

  再検査法
     
     
     
     
     
     
     
     
     

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サンプリングと統 計的推測

データから計算される相関係数などの指標は、実際にデー タを提供したサンプルに依存する値であり、サンプルが変わ ればその値は変わってくる。一方、量的調査研究の主眼は個々 のサンプルではなく、その背後に想定される母集団にあるの が普通である。ここでは統計的検定など、サンプルにおける 結果から母集団の性質を推測する方法について解説する。 南風原朝和南風原朝和


10 実験の考え方

 実験は、特定の要因の効果を明らかにするために、研究者 が意図的に場を設けることである。実験を行うときの基本的 な枠組みとして、知覚実験を例に、独立変数、従属変数とい う概念に触れる。さらに、干渉変数とその統制という考え方 から被験者の割り当ての問題、心理学的概念をデータとして 取り出すための操作的定義について解説する。 市川伸一市川伸一

     
     
     

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実験のデザインと 結果の分析

実験的研究では、独立変数の効果を歪みなく、高い精度で 検出できるようにデザインが工夫される。そして、異なるデ ザインに応じて適切なデータ分析の方法が用意されている。 ここでは、独立変数(要因)が1 個および2 個の場合につい て、基本的なデザインとデータ分析の方法について解説する。 南風原朝和南風原朝和

 

     
独立変数 矢の長さ:錯覚するながさ従属変数

交絡:羽の長さと角度が変化した場合、従属変数の原因がわからない。

   
     
     
     
    交絡を防ぐ工夫 マッチング
     
     
  2要因実験  
     
     
     

 

 


12 心理実験の問題点 とその対策

心理実験は、実験室のなかで繰り広げられる実験者と被験 者とのあいだの相互作用である。つまり、実験はそれ自体が ひとつの人工的な社会的状況であり、そのなかで実験者も被 験者もそれぞれの役割を演じながら相互作用をする。この章 では、実験状況の人工性と、その状況のなかで実験者と被験 者が演じる役割に焦点をあて、これらの相互作用によってど のようなバイアスが研究の結果に持ち込まれるかを解説す る。研究者が責任をもって被験者の安全と福祉を保証しなけ ればならないことにも言及する。 岡隆 ( 東京大学 助教授) 岡隆 ( 東京大学 助教授)

    生態学的妥当性
ある意見がすきがきらいかを書面で聞くより、その人から話させるのとは、生態学的には別のものである・

堂々とシャベッタリ

マタ

     
 

要求特性

 
虚偽尺度     
     
盲検法 インフォームド・コンセント

デブリーフィング

 

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実践研究の基本技 能とその実習

実践研究には、「実践を通しての研究」と「実践に関する 研究」がある。前者では、研究者が同時に実践者として対象 と関わりながら、研究を進める。そのため、対象と関わる人 間関係技能、自己モニタリング技能、体験記述技能が必要と なる。そこで、そのような実践研究の基本技能と、その習得 のための実習方法を解説する。 下山晴彦下山晴彦

心理学の研究方法の段階的分類 第1段階:データ収集の場の型 実践型研究のあり方
  実験&質的、量的調査&実践 実践は現実にかかわる。今までと非常に大きな違い 状況への関与
科学的研究の特徴 科学的研究中心の古い図式 新しい図式:実践的研究と科学的研究の相互関連

    実践を通しての研究、実践に関する研究というふうに分断するものではない
ロールプレイの方法 カウンセラー役の技法 プロトコル
     
フォーカシング    
自分の内側の微妙な感情の動きを理解していく方法 。言葉になる前の漠然とした感情。

それを拾うのがフォーカシング

フェルトセンス

 

   
    会話分析
     
     
   
     

14 実践研究の発展 − アクション リサーチ

実践研究を発展させるためには、「実践を通しての研究」 と「実践に関する研究」の統合が重要となる。この統合の一 形態として実践の中での問題解決や改善をはかりながら、そ の実践を研究していく方法にアクションリサーチと呼ばれる 方法がある。ここでは、アクションリサーチの理論と方法や 教育の領域におけるその事例を中心に紹介し解説する。 秋田喜代美 ( 東京大学 教授) 秋田喜代美 ( 東京大学 教授)

     
     
     
     

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実践に関する研究 と倫理 実践研究は社会的専門活動であるので、社会に対するアカ ウンタビリティとして、その有効性を実証的に示していく必 要がある。ここでは、そのための効果研究などを紹介する。 また、社会に対する責任として研究の倫理も必要となる。そ こで、心理学研究の倫理についても併せて解説する。 下山晴彦下山晴彦
  アカウンタビリティー  
     
     
   
     
一事例実験 内的妥当性  
  一度中断すると。効果があったか分かる  
メタ分析