<集団>*百匹目の猿
猿の文化伝搬に最近非常に特徴があることがわかった。ことの始まりは幸島のイネという天才猿がイモを洗って砂を落とすことを発見した事に始まる。イネの周辺からこの文化は「徐々に」広がり、次にイネが発見した海水で洗ったはうがおいしいという発見も「徐々に」ひろがった。そう、いままで「徐々に」と思われていた。しかし、観測の結果おもしろいことが判明した。例えば、この島の猿が四百匹いたとする。「徐々に」さっきの文化が勢力範囲を広げ、今九九匹目がイモを洗っていたとする。翌日に百匹日の猿が仲間入りすると思っていたが、一挙に四百匹全部が芋を洗い出したのだ。ある臨界質量を通過すると一挙に形態共鳴するらしい。
進化には自然淘汰に支配されるメカニズム以外にも、別のメカニズムがあるようだ。思えば人間社会も同じだ。最初の少数派が、ある量に達すると一挙に普遍化する。旧石器時代からの百万年間手斧とか基本的道具類しかつくれなかった私達が、ここ十万年で量子的飛躍をとげられたのもこのメカニズムのせいかもしれない。
この伝搬のしかたは、ある意味で、文化を急速に進化させる力がある。しかし、かっこつけてるファッションでも流されるままでは、猿と同じだ。私達に大事なのは一人一人がイネのようにアグレッシブであること。但し、自分に固執せずに他人の発見を寛容に受け入れること。「神話もみんなで共有すれば現実になる。」
最近イネは砂と小麦が混じったものを手ですくって、海に放り込み、浮いた小麦だけを選り分けて食べることを発見したそうだ。今度はいつ臨界質量に達するのだろうか?そして次にはどんな文化的爆弾を炸裂させるか楽しみだ。
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