仲間意識の中身


 生化学者に他人のために死ねるかと訊いたらきっとこんな答えが返って来るだろう。「兄弟三人もしくは従兄弟九人の為なら死ねる」と計算はいたって簡単だ。兄弟は自分とおなじDNAを半分もっている,従兄弟は八分の一だ。だから自分が死んでも遺伝子的にはペイするのだ。

 私達の体のなかにプラスミドというDNAがいる。たった二つの遺伝子しか持ち合わせてないが一つはもっぱら毒を生産し、もう一方は解毒剤を専門に作っている矛盾にみちた細胞だ。

 生命は時には細胞を自ら殺す時がある。排卵がいい例だが、タコなど死ぬための遺伝子まで用意しているくらいだ。産卵した後、子供を自分が食べてしまわないように、一切ものを食べられなくなってしまう。やがて子供が成長すると餓死してしまう。

 こうしたものは母と子にしか、観られないのだろうか?人間の脳が爆発的に進化したのは社会的混成集団で育ったからだった。ならば、親子以上に人間らしい他人との関わりをもてても当然だろう。現代文明が生き残る為には私達がまだ使いこなしてない、もしくは忘れてしまった心のDNAを開発したいものだ。

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