エクスタシーヘの道


カマキリが祈りたくなるのも無理はない。

 なんせオスカマキリは初夜明けにメスの朝食になるかもしれないのだ。カマキリくらいになると、本能と理性がわかれているらしくて、交尾したいが、食われたくないという恐怖にも憑かれる。そこで、オスから恐怖を感じる部分を取り除くと、まっすぐに交尾に走る。

 どうやって取り除くのか?なんとメスがオスをとっつかまえてその脳の部分だけ食べてしまうのだ!そのあとSEXのことしか考えられなくなったオスとゆっくりヤリまくる。そして体力を消耗したオスを簡単に捕らえ最後に全部食べてしまう。メスは元気になり、卵を生むというわけだ。そういえば子供の頃、頭に穴のあいたカマキリや頭を食べてるところを見た事がある。

 人間にも似たようなジレンマがある。性衝動に限らず、生活のほとんどあらゆる側面にいえる。プラトンは理性と判断は議論と対話によって成立するものだとした。議論をするには柏手が必要なわけだから、精神は二分されていると主張したのは、フロイトが二つの精神−意識と無意識−という画期的発見の二千年前である。

 消化の働きを指図し、瞳孔を開いたり、絞ったり、気温に応じて汗をかき・・・・こんなことをいちいち考えていたら、ほかのことを考える時間がなくなってしまう。たしかに神経を中枢神経と自立神経にわけたのは正解だったかもしれない。しかしことによってカマキリ型の窮地に立たされる事にもなったが、私達の心の葛藤は実は生物的進化の必然的帰結であって既に固定され受け入れられるしかないのだ。

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