群れの正体


 その鳥の群れが空を横切ると、日食で陽がかげったかと思われるほどの大群をなした。なにしろ一時間あたり三億匹という魂が、三日も四日も頭上を通りすぎるのだ。このリョコウバトの数は一説では二百億匹とも四百億匹ともいわれたが、この空前絶後の野生動物の壮大な眺めは、「最大級の虐殺をもって歓迎され、わずか百年後に絶滅した。群れていたが故に一網打尽にされたのだ。残ったハトは群れがない故に滅んだ。群には一網打尽にされるリスクがあるのに何故群れるのだろか?

 最近では、見かけなくなったが、昔はXの字に編隊を組んで飛んでる鳥をよく見た。自然が作り出すパターンのうち、私が感動を受ける場面の一つです。ツバメをみても同じように感動しない。空高く飛ぶ鳥の姿は、自由と冒険を思わせる。いつもX字隊列を組んでいるのは理由があることがわかっている。隊列を組んだ方が気流が有利になるためだ。あの形で飛んでいるとお互いの羽の先からでる上昇気流を利用して単独で飛ぶより倍近く楽に飛ぶことができる。個々の植物や動物が群を作ると、単に個体以上のものになる。

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