幻覚


 こうなってくると何が現実で何を判断しているのか、どこまでが自分の自由な精神なのか分からなくなる、まるで催眠と暗示のかたまりが幻覚の中をさまよっているようだ。

 しかし、どうやらこれが「心」の正体らしい。子供達は非常に純粋にも物事を見る。歳をとるにつれて想像力が鈍り、最後にはすっかり抑制されてしまう。想像力が大半の場合、マイナスの社会的価値にしかならないのを、感じとって、自ら足かせをしてしまう。それぞれの社会で正気というものの一定の基準を設け、文化的な圧力を受け、大部分の人はこの規定された範囲内で生涯を終わる。ごく少数の人がこの範囲を抜け出すことができるが、それは狂気と分類され、強制的に保護され自由を奪われ、改造させられる。

 私たちはこのまま枯れ野原で幻覚にグルグル引きずり回されるだけなのだろうか?いや、宇宙の卵のひびから真理を垣間みて、真理に手が届きそうな瞬間が確かにあるはずだ。

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