<<第十部心>>


人間はみな、地球の周期やリズムを愛する生来的な感性を備えた、自然の申し子であり、授かった感性が自由に発揮されれば、その出自をうかがわせるデザインを奏でる者なのだ。もっとも、その旋律の琴線に触れるには、その前に私達の忙しすぎる脳を少し休ませて、心の鼓動に耳を傾けさせねばならない。

<心>


 物質はエネルギーの一つの形態である。生物はその不安定な状態を保持するような方法で設計されたエネルギーである。脳は、このような、組織の統合を託された生物の部分である。

 いままではこれで良かったが、進化の次の段階では、これらの単純で、機械的な分析では説明不可能である。

 心は、エネルギーとは関係なく存在するらしい。心は観察不可能で、どちらかというと経験するものだ。過去五百万年かけてDNAは進化のその創造的エネルギーを人間を生み出す事にそそいだように思われる。この激しさが、最も近いといわれるサルとの間に天と地ほどの知能の差を造りだした欧米的な傲慢な言い方をすれば、全ての生命は人間の失敗作ともいえる。しかし私の心は全ての生命は同じ意味をもつと感じ、これが人間のとる態度だと思う。

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