宇宙は、騒々しい混乱に満ちた場所である。
地球も、何百万という衝突しあう電磁波と音波の絶え間ない衝撃にさらされている。毎日、毎秒、無数の衝撃が、刺激や情報という形で、なだれを打って私達に降り注いでいる。その内容は多種多様だ。発生源が今なお、不明なミクロの宇宙線から、私達の体を貫通する波長の短い]線、あらゆる類の情報を運ぶ放送局の電波。いちいち聞いていたらそれこそきりがないだろう。こうした、情報の洪水に押し流されないように、私達は限られた知覚しか持ち合わせてない。つまり私達の五感は最初から非常にかぎられた周囲の振動しか通さないようにできている。私達は五感という狭い窓を通して外界と接しているのである。
しかし時にはそれでも多すぎるので、脳が受信量をコントロールする。ある人が脳を「減少フィルター」といっている。つまり五感ですでに制限されている情報をさらにふるいにかけて減少させる機能が脳にはあるようだ。
例えば、最初は、うるさくて、しょうがない大きな柱時計の時を刻む音もなれてくると聞こえなくなる実はこれは経験のたまもので、電車のなかで会話することも、はじめて電車の音にふれたブッシュマンには不可能だという。
逆に私達のフィルターには増幅させる機能もあるようだが、いずれにしても、たんなる情報を意味のある「感覚」にするのは、意識が必要なのだ。自然そのものには色彩もなく青も、香りも、美しさもない。感覚が受けとめるまでそれは無意味なのである。自然や情報のなかにひそむ美しさを引き出すのは私達自身だ。
ご意見はまで