生命の開花


 宇宙でも炭素、窒素、水素、酸素は星間ガスから容易に手にはいる。

 そして、原始の地球でも、水素、アンモニア、メタンぐらいは、簡単に手にはいる。ここに蒸留水を加えて、かき混ぜて放電を繰り返すと、初歩的な一次的生命を創りだせる。アミノ酸だ。最近ではDNA一歩手前の核燐酸まで作れるそうだ。

 こんな簡単な実験の中で、核燐酸までは作れてしまうのだが、原始の地球で十億年かけてもDNAが偶然できる可能性は絶対ありえないというほどきわめて低い。

 進化の奇跡を実感的につかもうとするときにはルービックキューブを考えてみればいい。盲人が偶然の一致で完成させられる可能性は五〇の一八乗分の一である。一秒に一こま動かすとしても地球の年齢の三百倍の時間がかかる。あの九コマ*六面を組み合わせるだけで偶然の一致に頼っていては天文学的時間がかかる。

 この誕生の確率を考えるとき、生命はただ螺旋を描いて流される流体から組み上げられたのではなく、何かのガイドシステムに優しく導かれたように思えてならない。

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