<<第二部GAIA>>

ガイアが生まれた日


 地球にはなにか奇妙なところがある。いや、奇妙なところがやたらとある、というのが本当だろうそれらを総合すると宇宙の変わり者、宇宙のあらゆる法則の例外的惑星という像がうかびあがってくる。

 熱力学の法則にしたがえば、地球はとっくに平衡状態に達しているべきであり、地球ほど古ければ表面は高温度の塩水におおわれ、二酸化炭素が大部分を占め、沸騰点に近い温度の世界になっていて当然。とっくに生命は絶滅していてもおかしくない。酸素と窒素の爆発性のふたつの気体も結合もせず、バランスをたもっているのも奇跡的だ。

 矛盾は前から見えてはいた。しかし、あまりに大きく立ちはだかりあまりに明々白々としていたため、目に入り難いものがあるが、これもそういう類のことであったらしい。一九六九年までそれには名前さえ与えられてなかった。

 その年J・E・ラブロックがこんな指摘をした。この地球の大気や海の塩分の安定は偶然ではなく生命が自らのために創造し維持してるというのである。この地球上の微生物から植物、高等生命体にいたるまで、ありとあらゆる生命が、いちがんとなって、地球環境の保つために働いているというのだ。

 彼は、地球を一つの生きた生命体としてとらえそれを「GAIA」と名付けた。操縦士も目的もなく永遠に太陽の内軌道を巡り続ける狂った宇宙船という気の滅入る地球像に代わる生物的なイメージとして地球をとらえたのだ。

 GAIAは私達が意識して始めて誕生した最も巨大な生命体といえる。まったくものを見る能力は空気が澄んでいるかどうかより、心が澄んでいるかどうかにかかっていると思い知らされる。

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