<<第六部猿から人へ>>

 現世人類は三万年ほど前世人類から猿人となったというのが現在定着されている学説だ。ところがアフリカでとんでもないものが発見されている。十万年前の鉱山のあとだ。そのほか、七万年前のペンダントをつけた骨がでたり、五万年前の赤い土で丁重に埋葬されたネアンデールタール人の骨もでている。そのネアンデルタール人は不思議にも我々の直径の先祖であるクロマニヨン人より、頭脳がはるかに大きかった。私達の世界以前に明らかに人類に到達した奴らがいた。私達の常識は改めなければならないだろう。

 アフリカのスケルトンコースト(骸骨海岸)にも通称ビーチウォーカー又は、なぎさ猿人、現地の呼び名で「ストランドロバー」(浜辺の散策者の意味)、学名・「ボスコボイド(ボスコ人)」という前世人類がいた。私はビーチウォーカーというニックネームが好きなので以下これをつかわせてもらうことにする。

 ビーチウォーカーも現世人類より、脳が三〇%も大きかった。しかし、四股は細く、アバラも紙のように薄かった。装飾品や武器が一切発見されてないことから、好きかってに想像をめぐらすと、物を作ることより、観念を構築することに喜びを覚え、美や穂といったものを教え合う彼らの姿が目に浮かぶ。そんな彼らの姿を例えるとしたら、「未知との遭遇」に描かれた宇宙人にそっくりだったことだろう。

 彼らの生活は謎に包まれたままであるが、彼らを猿から人への失われた輪の部分とする説がある。武器を持たないビーチウォーカーたちが、猛獣に襲われ海に逃げ込むことを覚え、いつしか海へはいる時間が長くなり、息をする為に四つん這いより二本足で立つほうが都合がいい為、2足歩行が生まれたとするものだ。更に、水につかっている部分の毛が海獣のように退化した姿を想像するとほぼ現世人類の姿となる。事実、顔が水につかると心拍数が半分に落ちる「潜水反射」があるのも人類とクジラやアザラシぐらいだ。生まれたばかりの子どもは必ず泳げるし、人間の女性だけの特徴のどこまでも長く伸びる髪は、海で子どもをつなぎ止めておくのにちょうど良い。水中にて食物を嚥下できるのは、ジュゴンやアザラシと人間のみであり、この咽喉を自在にあやつれることができて初めて人はいろいろな発音をすることが可能となり後に言語となった。メスが溺れずにセックスできるのも人間の女性ぐらいなものだ。もう一つ好き勝手に想像をめぐらすとこの時代のビーチウォーカーとイルカの関係は現在の人とイヌのペット関係以上に対等な友達だったんじゃないか?−と。だとしたら、なんともロマンのある話じゃないか?

 一説には黄色人種はネアンデルタールの末裔であり、欧米人はクロマニヨン人の末裔であるとの声も聞くが。どの人類も長い間がかけて進化したにもかかわらずあっという間に消えていってしまったことが判っている。しかし原因はどれも今もって不明だ。

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