おもしろい実験をした人がいる。

 海綿を絹ごしにしてドロドロの液状にしてしばらくほおっておくと、元の個体に不死鳥のように戻ってしまうが、これを青い海綿と、黄色い海綿をまぜあわせてしまったのだ。どうなると思うだろうか?緑の海綿になる?実は、青い海綿と黄色い海綿にきちんと分かれて再生するのである。このことは生命はかなり基本的なレベルで、他との違いを見い出し、自己を区別する能力を持っていることとを意味する。

 ウニをスープ状にした物好きな人もいる。ウニの殻をつくるのに必要なカルシウムを制限してやるとバラバラに崩壊して細胞のスープになってしまう。これをまぜこぜにしても、カルシウムを補給するとたちまち、もとのあの刺を持ったりウニにもどってしまう。つながりのないバラバラの細胞のスープのなかで、なぜか過去の形態を記憶しているのである。

 生命は驚くほど広範囲に及ぶ安定した「パーソナリティー」を持っている。そして自分の進む道を知っており、ほとんど助けを必要としないようだ。

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