相互利益の為に共に生きることをシンピオーシスと言う。進化上の劇的な飛躍を生む方法のひとつである。

 地衣類とよばれる天然合成生物がいる。藻類と菌類が単独では生きていけないような最悪の環境条件におかれた時、合体し一つの共生体となったものだ。よく極寒の山頂の岩などにまるで時間のシミのように張り付いている。地衣類は、摂氏マイナス一八三度の液体酸素に入れられても、六年間真空状態におかれても生き延びる。単独の生命ではとうてい不可能なことをやってのける力がそこにはある。

 シンピオーシスはなにも特別なものではない。すぐに目に飛び込んでくる緑の植物すら、葉緑体と共生しており、これがいないと植物足り得ないし緑色にもなれない。

 私達人間とて同じようなものではないだろうか?男と女、社会や家族、どれもたった一人ではあり得ない。それも自然の波をうまく乗り越えるための共生システムなのだろう。そしてそれ以上の物を求める価値はどこにもないようだ。

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