陽子崩壊

 

プラトテレス>陽子に「寿命」があると思うかい?

ソフィー>もし、あるとしても、そんなこと観測できるの?

プラトテレス>スーパーカミオカンデという装置を使う。「寿命」とは、すなわち崩壊のことなんだけど、宇宙線の影響をうけない地下1000mぐらいのプールに水を入れて、陽子が崩壊するときに放出される、ガンマー線を検出すればできるはずなんだ。陽子は水の中にも豊富にあるからね。

ソフィー>1個の陽子の崩壊にはどのぐらい時間がかかるの?

プラトテレス>ざっと10の30乗年。つまり1,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000年だ。でもこんな長い時間待ってられないから代わりに10の30乗分の陽子をあつめれば、一年に1個の陽子崩壊が検出されるってわけだ。水だと3000トンぐらいだ。

ソフィー>結果は?

プラトテレス>何年観測しても検出されてない。研究所も最近では諦めて、違う研究にこの設備を転用し始めてしまっている。

ソフィー>もし、観測されたらどうなるの?

プラトテレス>重力が求心力を失い、宇宙は永遠の暗闇に飲み込まれるという仮説の傍証の一つになる。

ソフィー>つまり…?ようはなに?

プラトテレス>ショックかもしてないけど、つまり、宇宙に終わりの時があるってことになる。

ソフィー>太陽が巨大赤色恒星になってしまうほうが遙かに近いんじゃない?そうなったら、私達にとっても世界は終わったも同じだし。今更ショックなんて受けないわ。どっちにしてもそんなにノンビリ観測していられないってことだけわかっていればいいわ。

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