ヒッグス粒子観測

 

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ヒッグス粒子観測か 最後の未発見粒子

物質に質量を与える未知の粒子であるヒッグス粒子の存在を示す、これまでで最も信頼度の高い実験結果が、スイス・ジュネーブにある欧州合同原子核研究機関(CERN)で得られた。ヒッグス粒子は標準理論が予測する基本的な粒子のうちで、最後の未発見粒子。なお観測が必要だが、その存在が確かめられれば、素粒子物理学の大きな飛躍につながりそうだ。

 この結果は5日、同機関内の研究会で明らかにされた。研究に加わっている川本辰男・東大素粒子物理国際研究センター助教授によると、CERNにある電子陽電子衝突型加速器LEPで行われている4つの実験のうちの1つで、今年になって、ヒッグス粒子が存在したらしい現象が数回観測された。

 4つの実験データを総合すると、ヒッグスが存在しないにもかかわらずこのような現象がこれだけ観測される確率は1%程度であるという。もし存在したと仮定すると、その質量は1140億電子ボルト前後になるという。

 川本さんは、「これまでもヒッグス粒子が存在したらしい事象は観測されているが、今回のような高い信頼度で観測されたのは初めてだ。科学的に確定するにはまだデータが必要だが、期待のもてる結果だ」と話している。

 ヒッグス粒子は、英国の物理学者P・W・ヒッグスが1964年に提唱した。物理学の標準理論によると、粒子の質量は本来ゼロのはずなのに、実際にはほとんどの粒子に質量がある。ヒッグスは「粒子は真空を満たす粒子の抵抗を受けて動きにくくなるために質量があるように見える」と説明した。このブレーキ役の粒子がヒッグス粒子で、標準理論の枠組みを検証するためには、その存在を確認することが必要だ。

(11:47)

 

1998年から刊行がはじまった『朝倉物理学大系(全十一巻)』が完結した。
この大系は並の物理学大系とちがって、全十一巻のうち四巻を素粒子論にあてるという本格派である。
一般読者には無縁の内容が大部分だが、次のくだりだけは、ぜひ紹介しておきたい。
素粒子論は現在、標準理論と呼ばれる形にまとまっているが、そのエッセンスは、驚くべき内容を含んでいる。
「標準理論が新しくもたらした物質観のなかで最も革命的な要素は真空に対する概念であろう。
標準理論によれば、真空は何もない無の空間ではなく、物性における媒質のように何か(ヒッグスと呼ぶ)が詰まっている力学的構造体である。
したがって真空自身がエネルギーをもつことが可能であり、環境変化に応じて真空自体の性質も変わりうる(中略)、すなわち真空は温度によってその相を変える。
標準理論の要諦は、われわれの住む世界が極低温状態にあり、ヒッグス粒子の凝縮したいわば超伝導相状態にあると認識することにある」(第六巻 長島順渚「高エネルギー物理学の発展」)
ビッグバンで、なぜ何もないところから世界が突然出現することができたのかが、これによって説明される。
世界は無から生まれたのではなく、ヒッグス粒子が詰まった真空から生まれたのである。
そして実際、真空から物質が生成するということは、高エネルギー素粒子実験の世界では日常的な現象なのである。

アッシュはアメリカの初期のSFが大好きです。その頃はラジウムが未知のエネルギーとして扱われ、宇宙は真空ではなくエーテルと呼ばれる特殊な物質で満たされていると想像されていました。それから宇宙は極度に物質の希薄な真空であるとされてきましたがまた元に戻ってきたのですね。そういえば反物質の理論を説明した書籍で似たようなことを書いてあったなあ・・・なかなか興味深い理論です(^-^)


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