ニュートン

1642―1727

ニュートン以前の物理学は自然哲学であり、デカルト(1596―1650)のように森羅万象を対象に神すら説明しようとしていた。ニュートン以前は全て目的論であり、「何故?」と問う事が大切であったのだが、ニュートンは物理学を哲学から切り離し、この「何故」をあっさり捨ててしまったのである。この何故を意識的に欠如させたために、かの「プリンキピア」を1687年に刊行させることができた。例えば、彼の理論に欠如しているのは、「なぜ万有引力は存在するのか?」という問いである。天体の運行を説明できるからそれでいいのだという立場をとっている。

これが「我は仮説をつくらず」の真の意味である。

しかしニュートンにしても太陽を特別視していて太陽中心説を信じていた。地球中心が太陽中心にかわっただけなのであった。太陽系が宇宙において特別な星でなないことはごく最近の宇宙観なのである。

どうして宇宙は無限なのか?

このアプローチにより後の科学を大きく発展する事ができたといえよう。

しかしここに至って物理学はもう一度、「何故」に向き合わねばならない。


ニュートン力学の主論は下記に整理される。
時間の可逆性と機械的世界観

  1. 絶対時間・絶対空間という概念、および、その空間で運動し相互に機械的に作用し合う分離した物体という概念
  2. 物質とは本質的に異なった、本来的な力という概念
  3. 数量的な関係から見た、運動及び物体間の相互作用をあらわす基本的な法則という概念
  4. 厳密な決定論という概念、および精神と物質のデカルト的な分離に基づく、自然の客観的記述という考え方。

以上の概念はわれわれの精神生活の基本的な視座としてそれぞれ、位相的、力学的、経済的、遺伝的なものとして根づいている。

 

HOME

ご意見はparadigm@dreamドットコムまで

Amazon.co.jp のロゴ

 
|