HOME 2004/12/17 1849212.doc 1 =バイオテクノロジーと社会(‘05)=(TV 〔主任講師: 軽部征夫( 東京工科大学教授〕〕 全体のねらい バイオテクノロジーのいろいろな分野への応用が注目されている。この基礎となる技術について解説 し、これらの医療・福祉、生活、産業、農林水産業などへの応用の具体例やこの技術のもつ倫理的問題 について述べる。 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
1 DNA
,遺伝子と 染色体 遺伝子の本体がDNAであることがわかり、DN Aの化学構造、遺伝子と染色体との関係が明らかに なった。これらの遺伝子情報に基づいてタンパク質 が合成される(遺伝子機能の発現)。そして、ヒト ゲノムの解析が終了し約3万個の遺伝子があること がわかった。 軽部征夫 (東京工科 大学教授) 軽部征夫 (東京工科 大学教授)
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組換えDNA技 術 生物は共通の遺伝子の本体としてDNA を用いて いる。これらのDNAを組み換えて、異種の生物に そのDNAを導入し、発現させる技術が開発された。 この技術を応用すると全く新しい医薬品等の製造が できる。 同上同上
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細胞と胚の操作細胞を培養する技術やその細胞の中に遺伝子を導 入する技術、またその細胞の集合体である胚の培養 技術や組織の再生技術など、細胞と胚の操作技術や その応用分野が著しく広がっている。同上同上
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クローン・キメ ラ動物 クローン羊「ドーリー」の誕生によってクローン 動物が世界中の注目を集めた。この問題はクローン 人間の問題へと発展し、大きな社会問題となってい る。また、異種動物の遺伝子を導入したキメラ動物 を作り出すことも可能になっている。 同上同上
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バイオ医薬品組換えD NA技術を応用すると、われわれの体の 中で重要な働きをしているペプチドやタンパク質な どの医薬品を生産することが可能である。このよう なバイオ医薬品のマーケットは急速に拡大してい る。 同上同上 2004/12/17 1849212.doc 2 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
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先進医療遺伝病は4000 以上あると言われている。これらの 遺伝病のうちの一部は遺伝子を補うことによって治 療することができる。このような先進医療や組織再 生など最近の医療におけるバイオテクノロジーの応 用が広がっている。 軽部征夫軽部征夫
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医療工学胚性幹細胞(ES 細胞)の樹立に成功し、いろいろ な細胞に分化する幹細胞が容易に入手可能となっ た。これらの幹細胞にDNAや核を導入して種々の 細胞に分化させる技術が開発されており、これらの 技術を用いて将来、臓器再生が可能になると思われ る。また、人工臓器の研究や医療用ロボットなどの 研究が進展している。 同上同上
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生活に役立つバ イオ 食品を効率的に製造したり食品の機能を高めたり することがバイオテクノロジーの応用によって可能 となった。また、化粧品分野でも遺伝子レベルから 美白を実現したり、皮膚の老化を防ぐなどの革新的 な化粧品が誕生している。 同上同上
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産業に役立つバ イオ アミノ酸やアルコールの生産の効率を上げるため に、組換えDNA技術を利用して改良した微生物が 利用されている。また、バクテリア・リーチングと 呼ばれ、銅などの精錬に微生物が応用されている。 さらにバイオマスエネルギーも注目されている。 同上同上
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バイオとエレク トロニクスの融 合 生物の機能をエレクトロニクス分野に応用しよう とする研究がある。例えば、生物の分子識別機能を 応用したバイオセンサーが開発され、医療計測や環 境計測に応用され、注目されている。また、脳を指 向したコンピュータなども研究されている。 同上同上
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新しい農業遺伝子組換え作物が注目されている。除草剤に耐 性の遺伝子などを導入することによって除草剤の効 果を上げたり、収穫量を上げることが可能である。 また、医薬品として有効な成分を作物に組み込むな どの研究も行なわれている。 同上同上
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海洋とバイオテ クノロジー 海洋生物を対象とするバイオテクノロジーが注 目されている。例えば、魚類の性をコントロール することによって資源の復活を図ったり、海洋生 物から新しい医薬品や工業原料を生産する研究が 行なわれている。このような分野の研究はマリン バイオテクノロジーと呼ばれている。 同上同上 2004/12/17 1849212.doc 3 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
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環境修復と保全環境に負荷を与える物質を、生物の機能を利用し て分解するバイオレメディエーションが注目されて いる。この技術により、タンカーなどの沈没で流出 する重油や原油を分解することも可能である。また、 砂漠の緑化を可能にするキメラ植物の作出なども行 なわれている。 軽部征夫軽部征夫
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生命倫理組換えD NA技術の安全性から始まり、胚などの 操作やクローン人間の問題など生命倫理に関する議 論が高まっている。また遺伝子治療や臓器の再生医 療における倫理問題などもある。これらのバイオテ クノロジーに関する生命倫理の問題について議論す る。 同上同上
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新しいバイオテ クノロジー ナノテクノロジーの1つのモデルとして生物機能 が考えられており、ナノバイオテクノロジーと呼ば れる分野の研究が盛んになってきた。一方、ロボッ トやエレクトロニクスの分野への生物機能の応用も 進んでおり、この分野は「バイオニクス」と呼ばれ ている。 同上同上