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2004/11/08
1280856.doc 1
=中小企業の挑戦(‘03)=(TV)
−グローバル化・ハイテク化・高齢化時代のもの造り−
〔主任講師:神代和欣(横浜国立大学名誉教授)〕
〔主任講師:中島尚正( 放送大学副学長)〕
全体のねらい
バブル経済の崩壊後、我が国は未曾有の経済的困難に直面しているが、その中でも電機、自動車、機械産業などの金
属加工工業は、目覚ましい技術革新を続け、なお強い国際競争力を維持している。それは、組み立てメーカーの優れた
技術力と経営能力によるばかりでなく、鋳物、鍛造、金型、切削などの基盤技術を支えてきた多数の優れた中小企業の
技術・技能によるところが大きい。しかし、持続的な円高が進むなかで、東南アジア・中国・ベトナムなどの低賃金と
の競争、先進諸国との貿易摩擦などを克服するために、多くの企業が生産拠点の海外移転と国際調達を、急速に進めざ
るを得なくなった。その結果、国内産業、特に基盤技術を支えてきた裾野産業の空洞化が進んでいる。さらに、これら
の中小企業は、生き残りをかけて、ハイテク技術を導入し、新製品・新製法の開発を進めているが、同時に少子・高齢
化による後継者難にも直面している。
この講義では、1995年の超円高の進行以来、6年間にわたって神代が続けてきた実態調査研究の成果を集約し、
グローバル競争、ハイテク化、少子・高齢化の荒波に挑戦する裾野産業中小企業の技術革新と経営革新の実態を紹介、
経済学的・経営学的分析を加えると同時に、塑性工学・機械工学・情報技術分野における中島の専門的技術的知見をも
加えて、21世紀における日本産業生き残りの方向と可能性を探る。
回テーマ内容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
1 空洞化の進む鋳物
業
イントロ: 産業空洞化が進んでいる。とくにこれまでの日
本のもの造りを支えてきた中小企業が、グローバル競争、長
期不況、高齢化の中で廃業が進んでいる。とくに鋳物など素
形財分野で問題が深刻。果たして生き残れるのか。生き残る
にはどうしたらよいのか。
川口鋳物業の衰退『キューポラのある町』幕末から続いて
きた御鋳物師の廃業、中国に進出した鋳物企業、鋳物の総生
産量の減少、近代的大量生産鋳物工場の生産増加:フルモー
ルド工法による大型鋳物の生産、木型を組まずに発泡スチロ
ールで鋳物の模型作り。川口の須崎鋳造の銀川工場(中国寧
河回族自治区)ヤマザキマザックの進出
神代和欣
(横浜国立大
学名誉教授)
神代和欣
(横浜国立大
学名誉教授)
2 中国との貿易と投
資
自己革新へ挑戦するものづくりアジア太平洋枠組の変動
日中経済関係の拡大発展世界の工場・虚像と実像
開国近代化努力の足取り日本製造業空洞化の実相
鮫島敬治
(日本経済研
究センター研
究顧問)
鮫島敬治
(日本経済研
究センター研
究顧問)
3 日中分業体制の構
築
ものづくりの蓄積を近隣の共生へ開国近代化への資金構造
官僚統制から市場経済へ日本企業の対中投資の実相中国
の試練と日本の対応
同上同上
4 製造技術の現状と
課題
私たちの日常生活や社会活動は、人工物で満たされた環境の
中で営まれている。現在の人工物の大半は、工場で大量につ
くられた工業製品である。製造技術はこの工業製品を作るた
めの技術である。工業製品に囲まれて生活していながら、私
たちがその製造のプロセスを知る機会は乏しい。今回は、製
造技術の全体的な特色を概観したのち、中小企業の観点から
この技術の現状と課題について説明する。
中島尚正
(放送大学副
学長)
中島尚正
(放送大学副
学長)
2004/11/08
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回テーマ内容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
5 日本の金型技術
日本の金型産業ものづくりにおける金型の役割金型の制
作法金型制作における新技術日本の金型産業の課題金
型産業の生き残り中川威雄
(東京大学名
誉教授)
中川威雄
(東京大学名
誉教授)
6 金型のエキスパー
トシステム
技能と技術金型磨き作業の特性解析金型磨き作業支援エ
キスパートシステム技能の体系化三好隆志
(大阪大学教
授)
三好隆志
(大阪大学教
授)
7
中小企業再生のた
めのCAD/CA
M/CAE
CAD/CAM/CAE
の現状を知る中小企業活性化の可能性
企業再生へのアプローチ技術開発支援ソフトウエア
大須賀節雄
(東京大学名
誉教授)
大須賀節雄
(東京大学名
誉教授)
8 熟練技能に頼らな
い製造技術
熟練技能に大きく依存していたものつくりを、熟練技能に頼
らなくても済むものつくりにするためにはどうすればよい
か。このことは、中小企業の活性化にどのように寄与するの
か。今回は、熟練技能に依存しないものつくりの試みとして、
次の2
つを取り上げて説明する。
1)金型加工を対象として熟練技能者が保有する技能を客観
化して誰でも使える技術にする試み。
2)体にぴったり合った製品をつくるための技術開発の試
み。
中島尚正
(放送大学副
学長)
中島尚正
(放送大学副
学長)
9 岐路に立つ金型産
業
わが国金型産業の動向国内で健闘する金型企業
オギハラはどこへ行く冷間鍛造金型のアカマツフォーシス
多角化をはかる
神代和欣
(横浜国立大
学名誉教授)
神代和欣
(横浜国立大
学名誉教授)
10 生き残りをかける
地場産業
新潟県新潟、燕三条の地場産業衰退の実態:洋食器から形
状記憶プラスチックwill
への転換を図った青芳製作所。マグ
ネシューム合金の深絞りプレス加工で地元企業との共生「こ
の指止まれ」を目指すモリテック。ペンキ屋から絶縁・導電
特殊塗料メーカーへ脱皮したナミックスなど。
同上同上
11 中小企業のIT
化
いまなぜIT
が必要かIT
は開発、生産、販売を変えるIT
によって顧客に結びつく森谷正規
(放送大学教
授)
森谷正規
(放送大学教
授)
12 商取引の電子化
もの造り情報の電子化川口の金型企業販売業務の電子
化XML
中国ソフトエンジニアとの提携神代和欣
(横浜国立大
学名誉教授)
神代和欣
(横浜国立大
学名誉教授)
2004/11/08
1280856.doc 3
回テーマ内容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
13 発展する中国の金
属加工業
珠江デルタ工業地帯に進出する日系企業発展する地元企
業中国機械工業の将来性と問題点神代和欣
(横浜国立大
学名誉教授)
神代和欣
(横浜国立大
学名誉教授)
14
東南アジアに移植
される日本の加工
技術
ベトナムの二輪車部品産業、タイでサッカーボールを生産
するモルテンなど。
同上同上
15 新しい国際分業体
制を目指して
空洞化はどこまで進んだか生産の海外移転、海外調達の
増加中国のキャッチアップ日本の製造業にはまだ強い面
が少なくない空洞化を越えられるか新国際分業体制を目
指して同上同上