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2004/11/08 1665910.doc
科目名エネルギーと熱(03)
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=エネルギーと熱(‘03)=(TV)
〔主任講師: 岡部豊(東京都立大学教授)〕
〔主任講師: 堂寺知成(京都大学大学院助教授)〕
全体のねらい
私たちの暮しの中で、熱を仕事に変える機械としてのエンジンを利用し、一方限りあるエネルギー資源の問題を論じてい
る。この講義は、このようなエネルギーと熱の本性を物理学の立場から理解することを目的とする。身近な現象をとりあげ、
熱力学・統計力学的に考える。また、コンピュータ・グラフィックスを有効に利用して理解を深める。
回テーマ内容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
1 各種のエネルギー:
とエネルギー変換
エネルギーという言葉は日常的にもよく使われる。物理学
におけるエネルギーの概念、各種のエネルギーの変換、エネ
ルギー保存則などについて学ぶ。また、現象をマクロにとら
える見方とミクロにとらえる見方の関連を理解する。
岡部豊
(東京都立大
学教授)
堂寺知成
(京都大学大
学院助教授)
岡部豊
(東京都立大
学教授)
堂寺知成
(京都大学大
学院助教授)
2 温度と熱:
温度と熱は日常的に用いる物理概念である。最高気温、熱
いお茶、風邪で熱があるなどという。この章では、温度、熱
量などの物理用語を学び、日常的使用法と物理学での使用法
の違いを明確にする。
堂寺知成堂寺知成
3 熱力学第一法則:
エネルギー問題の解決が容易でない第一の理由は、何もな
いところからエネルギーを生みだすのが不可能なことであ
る。本章では、このことの背後にある熱力学第一法則(広義
のエネルギー保存則)を学ぶ。気体の膨張や圧縮と、温度や
熱との関係も正しく理解したい。
同上同上
4 熱機関:
熱を仕事に変える機械が熱機関、すなわちエンジンである。
この章では、どれだけの熱を仕事に変換できるかを考察する
ために、カルノーという天才が考案したエンジンの理論を詳
しく学ぶ。また、クーラー、冷蔵庫などに見られる冷却の仕
組みを学ぶ。
同上同上
5 熱力学第二法則:
熱いお茶は冷め、煙突の煙は拡がってゆくことを、日常生
活で経験している。しかし、この逆の現象は、自然には起こ
らない。このような現象を不可逆現象という。本章では、不
可逆現象を説明する熱力学第二法則(エントロピー増大則)
を学ぶ。
同上同上
6 熱伝導:
断熱材の有無で冷暖房費が大きく異なり、寒冷地などでは
衣服の耐寒性が問題となってくる。このように熱伝導の問題
は生活に関わりが深い。この章では、熱伝導、対流、放射な
ど熱の伝わる仕組みと法則を学ぶ。
同上同上
7 統計的な扱いとラ
ンダムウォーク:
前章までエネルギーと熱をマクロな観点から調べてきた。
物質を非常に多くの原子・分子から成る集団としてとらえる
際には、統計的な扱いが必要になる。酔っ払いの歩き方に似
た、でたらめな方向に進むランダムウォークを例に、統計的
な考え方を学習する。
岡部豊岡部豊
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科目名エネルギーと熱(03)
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講師名
(所属・職名)
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講師名
(所属・職名)
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分子の熱運動とマ
クスウェルの速度
分布:
気体を構成する分子は絶え間なく運動している。その分子
の熱運動と温度との関係を学ぶ。個々の分子はいろいろな速
度で運動している、すなわち分子の速度は分布する。分子の
速度分布関数について学習する。
岡部豊
堂寺知成
岡部豊
堂寺知成
9 統計力学の基本的
な考え方:
多数の粒子から成る体系の熱的な性質をミクロな粒子の力
学法則から出発して理解する統計力学の基本的な考え方を学
ぶ。等確率の原理に基き、エネルギー配分の確率について学
習する。岡部豊岡部豊
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マクスウェル−ボ
ルツマン分布と応
用:
前章で導いた統計力学の基本法則に基いて、いくつかの系
の統計力学的な性質を調べる。個々の粒子が2つのエネルギ
ー値だけをとる2準位系、多数の調和振動子から成る系など
を取り上げる。
同上同上
11 熱とエントロピー:
第4,5章で学んだエントロピーの熱力学的な見方、第9
章で学んだ統計力学的な見方を整理する。混合、拡散などの
具体的な現象を例に、エントロピーの概念の理解を深める。
同上同上
12 相転移の熱統計力
学:
水が固体、液体、気体の三態をとるような状態の変化を相
転移という。相転移を熱力学的に理解すると共に、多数のミ
クロな粒子の相互作用がもたらす協力現象として統計力学的
にとらえる。具体的にイジング模型とよばれる磁性の相転移
を調べる簡単なモデルを学ぶ。
同上同上
13 複雑系の相転移:
世の中には、あるパラメータが変化すると系の性質が大き
く変わる「相転移」を示す現象は広く存在する。必ずしも熱
的な現象とは限らない。浸透問題などに見られる相転移現象
をとりあげ、主にコンピュータ・シミュレーションにより理
解する。
同上同上
14 量子統計力学入門:
電子や陽子などの同種の素粒子の集りを量子力学で考える
場合には、粒子が区別できないことによる素粒子の統計性を
考慮する必要がある。粒子の波動関数の座標の入れかえに関
する対称性からボース粒子とフェルミ粒子に区別されるが、
それぞれの統計的性質を学ぶ。
同上同上
15 理想フェルミ気体
と理想ボース気体:
相互作用のないフェルミ粒子あるいはボース粒子から成る
体系をそれぞれ理想フェルミ気体あるいは理想ボース気体と
いう。理想フェルミ気体の例として金属の自由電子模型を考
え、低温における比熱を調べる。また、理想ボース気体が低
温で示すボース凝縮を学ぶ。
同上同上