HOME 2004/11/05 1885812.doc 1 = 服飾と心理(‘05)=( TV 〔主任講師: 藤原康晴(放送大学教授) 〕 〔主任講師: 中川早苗( 広島国際学院大学教授) 〕 〔主任講師: 伊藤紀之(共立女子大学教授) 全体のねらい 私たちは毎日ごく当たり前のように衣服を着用し,髪を整えたり,髭をそったり,化粧をしたりとい う行為を繰り返している。本稿ではこのような着る・装うという行為が,人間にとってどのような意味 をもっているのか,社会の中でどのような役割を果たしているのか,人間と服飾と社会との関わりを心 理的,社会的,文化的な視点から考える。 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
1 服飾の心理的作 用 衣服をはじめ手袋や靴下,帽子や靴,アクセサリ ーなど身体につけるものを被服と称している。ここ では,被服とともに髪型や化粧,身体加工などを含 めて服飾と定義し,服飾と当人とのかかわり,服飾 と他者とのかかわりなど服飾の多様な心理的作用に ついて具体例をあげて考える。 藤原康晴 (放送大学 教授) 藤原康晴 (放送大学 教授)

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服飾への欲求・ 動機 被服には多くの機能があるが,「被服は人間の身 体以上に人間の心を保護している」といわれている ように,社会的・心理的機能が重視されている。今 日,服装の個性化が進行しているとはいえ,実際の 個々人の服装では,当人の個性だけでなく,他者の 評価を推し量って決められることが多い。この視点 から,いくつかの服装に関する規範を取りあげ,そ れに作用する要因を考えることをとおして服飾への 欲求・動機について理解を深めたい。 同上同上
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服飾の知覚と心 理 私たちはいつも服飾を介して他者とのコミュニケ ーションを図っている。つまり服飾を介してお互い に見る・見られる関係にあるために,服飾が知覚に 及ぼす心理的効果について知ることは,自己表現や 印象形成などについて考える上でも重要な手かがり となる。ここでは,形態や色彩が知覚に及ぼす心理 的効果について錯視の問題も含めて述べるととも に,服飾の構成要素である形態と色彩が知覚に及ぼ す心理的効果について考える。 中川早苗 ( 広島国際 学院大学教 授) 伊藤紀之 (共立女子 大学教授) 藤原康晴 (放送大学 教授) 中川早苗 ( 広島国際 学院大学教 授) 伊藤紀之 (共立女子 大学教授) 2004/11/05 1885812.doc 2 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
4 服飾が感情にお よぼす効果 視覚によって知覚された形態や色彩は,それまで の経験や知識などの記憶とともに見る人の感情に強 く働きかける作用がある。ここでは,形態や色彩が 感情におよぼす効果について述べるとともに,服飾 の形態,色彩,テクスチャーが感情におよぼす効果 とそれによって形成されるイメージについて考え る。 中川早苗 (広島国際 学院大学教 授) 中川早苗 (広島国際 学院大学教 授)

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服飾の着装と心 理 私たちはその日の服装や化粧,髪型などによって, 気分がうきうきと華やいだり,リフレッシュしたり, 引き締まったり,安らいだりといったことを経験す る。ここでは着装する服飾によってどのような感情 や気分が生起するのか,また着装する服飾によって 感情や気分がどのように変化するのかについて考え る。 同上同上
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化粧の心理的効 果 肌の色や瞳の色、口元や目鼻立ちなど顔の構造は、 容易には変えることができないために,古くから化 粧が用いられてきた。化粧による心理的効用には, 対人魅力の向上,変身願望の充足,気分の高揚,自 己満足など計り知れないものがある。ここではこの ような化粧の心理的効果について考える。 大坊郁夫 (大阪大学 教授) 大坊郁夫 (大阪大学 教授)
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服飾に対する認 知 情報伝達には,主に言語が用いられるが,表情や 身振り,服飾なども性や年齢,社会的役割,状況な どに関連した情報を伝達する。ここでは,対象者の 服飾の評価およびその服飾を手がかりとして認知さ れる事柄を対象者と観察者の関係の既知,未知別に まとめ,それぞれの事柄について実験室的研究を基 に,日常生活における服飾に対する認知の実際を加 えて考察する。 藤原康晴 (放送大学 教授) 藤原康晴 (放送大学 教授)
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服飾の流行と心 理 服飾の歴史は流行の歴史といっても過言ではな い。つまりかっては流行といえば服飾の流行をさす ほど流行は服飾の世界において顕著に見られた現象 である。ここでは,流行がなぜ服飾の分野において 顕著にみられるのか,その要因について心理的な面 を中心に紹介するとともに,戦後の日本における服 飾の流行について,色彩と素材の面から考察する。 中川早苗 (広島国際 学院大学教 授) 中川早苗 (広島国際 学院大学教 授)
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戦後ファッショ ンにみる世相と 心理 ファッションは時代を映す鏡であると同時に心を 映す鏡でもある。私たちは服装史に登場する数々の ファッションにその時代の社会や文化の状況をみる ことができるが,同時にその時代の人々の服飾に求 める心理をうかがい知ることができる。ここでは, 真の洋装時代が始まったわが国における戦後の服飾 の変遷をファッションの視点から概観し,それぞれ の時代のファッションが表現する心理的,社会的, 文化的な意味について考える。 同上同上 2004/11/05 1885812.doc 3 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
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パッチワークキ ルト―開拓時代 の心― アメリカのパッチワークキルトは使い古された衣服 の残り裂を利用して作られたベッドカバーである。 そこには家族の歴史,地域社会とのつながり,生活 の姿が読み取れる。また,切り継ぎされた布は過去 の繊維と染料の実物であり,貴重な服飾資料である。 キルトから開拓時代の諸相を考える。 伊藤紀之 (共立女子 大学教授) 伊藤紀之 (共立女子 大学教授)
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寄せ裂と刺し縫 い―古布,古裂 にみる心情― 生前愛用した着物を解き,供養のために縫い合わ された打敷,生まれた子どもの成育を願い,端裂を 集めて作られた百徳着物,端裂で作られた盆踊りの 衣裳や五穀袋。厳しい生活から生まれたこぎんや刺 子,刺しで補強された粋な火事羽織。それらをとお して人々の願い,心情を考える。 同上同上
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小袖ときもの― 反映された女性 の心― 江戸時代の武家女性の小袖・帷子,町人女性が着 用したと考えられる打掛,公家女性の小袖・帷子, 明治時代のきものへの移り変わり,それらの服飾資 料をもとに,当時の女性の心を考える。 長崎巌 (共立女子 大学教授) 長崎巌 (共立女子 大学教授)

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ファッションプ レート―憧れと 伝播― 豊かな衣への憧れが,繊維を中心とした産業革命 を発展させた。技術の向上と生産の拡大に歩調を合 わせるように,流行を予想し,伝えるファッション プレ−トが生まれた。18 世紀末からファッションが 大衆化する20 世紀初頭まで継続したファッション プレートをとおして,服飾への憧れ,思いを考える。 伊藤紀之 (共立女子 大学教授) 伊藤紀之 (共立女子 大学教授)
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浮世絵―定点か らみた服飾変遷 と心情― 浮世絵は庶民の生活をさまざまな視点で描いてい る。春信によって多色摺り木版画が完成されて以降, 大量の作品が作られ,江戸の姿を今日に伝えている。 明治になっても継続され,新たな視点から描かれた。 浮世絵に描かれ続けた地域を定点観測地として,服 飾の変遷と心情を考える。 同上同上
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服飾の心理学的 研究の社会への 応用 服飾と心理に関してさまざまな視点から学習して きた。これらの内容の社会的意義として,被服の製 造,販売,購入への応用がある。最近,体型測定機 器や被服を仮想的に着用できる技術の進歩が著し く,個々人の体型や好みにマッチしたオーダーメイ ドの被服を容易に入手できる環境が整いつつある。 この現状と課題について解説する。 藤原康晴 (放送大学 教授) 藤原康晴 (放送大学 教授)