HOME - 1 - =紛争と民法(‘02)=(TV 〔主任講師: 淡路剛久(立教大学教授)〕 全体のねらい 民法の財産法の部分を講義する。対象の学生が、教養学部生であること、時間数が圧倒的に少ないことなどを考慮して、 法典の体系や理論の体系から演繹的に説明する仕方をとらず、私的な争い(民事紛争)から始めて、それが民法ではどのよ うに解決されるかの説明を通じてやや一般化し、民法を理解してもらう。以下は、テンタティブな講義概要。 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
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民法とはなにか (1) −私的な争いとそ の解決 具体例。争いには国と国、国と私人、私人間などいろいろ あり、その解決の仕方も、実力行使、権威ある第三者の仲介、 かつての経験、予め存在する基準などがあることを説明して、 民事紛争とその近代的な解決方式としての裁判制度について 述べ、民法の存在理由を明らかにし、民法が私法の原則法だ といわれるゆえんであるその特徴、民法の要素(私的所有権、 契約、法的人格)を説明する。 淡路剛久 (立教大学教 授) 淡路剛久 (立教大学教 授)
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民法とはなにか (2) −民法と民法典 民法的な解決の基準となる制定法(民法典、特別法)、慣 習法、判例、条理などを説明した上で、民法典の成立史、民 法典の構成を説明する。同上同上
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民法の主体と客体 −権利と義務、人と 法人 具体例。民法的な法律関係が権利と義務によって構成され ること、権利の行使と義務の履行は信義誠実にしなければな らないこと、権利濫用はしてはならないこと、財産法上の権 利には物権と債権があること、権利義務の主体となる資格が 権利能力であることを明らかにし、人(自然人)に関する制 限能力制度、法人制度について説明する。 同上同上
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加害をめぐる争い (1) −不法行為・不法行 為法・過失損害賠償 責任 具体例をあげて、不法行為とはなにか、不法行為法とはな にかを説明した上で、過失損害賠償責任についての709 条の 要件を説明する。因果関係、過失、権利侵害と違法性。 同上同上
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加害をめぐる争い (2) −無過失損害賠償 責任と中間的責任 争いの具体例をあげつつ、中間的責任の意味を明らかにし、 使用者責任、工作物責任、無過失責任に近い自動車運行供用 者責任を説明し、無過失責任としては、原子力損害賠償責任、 製造物責任などを説明する。同上同上
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加害をめぐる争い (3)−不法行為責 任の効果 具体例をあげて損害賠償、原状回復と差止について説明し た後、損害賠償請求権の主体、損害賠償の内容を説明する。 同上同上
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契約をめぐる争い (1) −契約の成立およ び効果とその障害 具体例をあげて、契約はどのようにして成立するかを説明 する。当事者の意思の合致、代理人による場合、無権代理と 表見代理など。その効果が妨げられる場合として、公序良俗 違反による無効、錯誤による無効、詐欺(・強迫)による取 消を説明する。契約の種類。 同上同上 - 2 - 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
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契約をめぐる争い (2) −契約の履行と不 履行 具体例をあげて、契約が約束どおり履行されて(信義則を 含む)契約にもとづく債権、債務が消滅する過程を説明した 上で、契約が約束どおり履行されない場合に、債権者が取る ことができる現実的履行の強制、債務不履行に基づく契約の 解除、損害賠償について説明する。なお、消滅時効にふれる。 淡路剛久淡路剛久
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契約をめぐる争い (3) −売買 具体例をあげて、一時的債権契約の典型例としての売買に ついてその成立要件と効果を説明した上で、売買契約が履行 されなかった場合の債務不履行について振り返り、売買の目 的物に瑕疵があった場合の担保責任について説明する。同上同上
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契約をめぐる争い (4) −賃貸借 具体例をあげて、継続的債権契約の典型例としての賃貸借 についてその成立要件と効果を説明した上で、借地借家関係 の争い、その解決を借地借家法を中心に説明する。 同上同上
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契約をめぐる争い (5) −消費者契約 具体例をあげて、現代的な問題である消費者問題を説明し、 割賦販売法、訪問販売法、消費者契約法による解決について 説明する。 同上同上
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不動産をめぐる争 い(1) −物権と物権法 具体例をあげて、物権と物権法について説明した上で、物 権の基本型である所有権について説明する。相隣関係、所有 権の取得(取得時効を含む)、共有(マンションの法律関係 を含む)、物権の妨害に対する物権的請求権など。権利濫用 が適用される一場面。 同上同上
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不動産をめぐる争 い(2) −土地と家屋の権 利関係 具体例で不動産の権利関係をめぐる争いを示した上で、そ の解決、とくに不動産の対抗要件としての登記による解決を 説明する。 同上同上
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担保をめぐる争い (1) −担保物権と抵当権 具体例をあげて、担保物権の概略を説明した上で、抵当権 となにか、成立要件と効果の原則を説明し、抵当権の効力が 及ぶ範囲、法定地上権、短期賃借権の保護、根抵当権制度の 概略を説明する。同上同上
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担保をめぐる争い (2) −保証 具体例をあげて、人的担保の概略を示した上で、保証の成 立要件と効果を説明する。保証債務の範囲、保証債務の付従 性、保証人の抗弁権、保証人の求償権など。普通の保証と連 帯保証、根保証など。同上同上