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2004/11/08 1280627.doc
科目名ゲノム生物学(03)
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=ゲノム生物学(‘03)=(TV)
−生命科学革命と21世紀の社会−
〔主任講師: 岩槻邦男(放送大学教授)〕
〔主任講師: 近藤喜代太郎(北海道大学名誉教授)〕
全体のねらい
ヒトゲノムに関する話題は人々のゲノムへの関心を惹いている。ヒトのゲノムが読み取られたとはどういうことか、何が
分かり、何が分かっていないのか、多様な生物のゲノムの差や共通性は何を意味するかなど、生物学の最先端の話題と問題
点を紹介する。
回テーマ内容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
1 メンデルからゲノ
ム生物学へ:
遺伝学の歴史を簡単に紹介し、生命科学における遺伝学、
ゲノム生物学の現在像を描き出す。20 世紀になって、遺伝学
が生命科学の中心を占めるようになったのはなぜか、生命を
考える際ゲノムがその中核の課題となるのはなぜかを説明す
る。
岩槻邦男
(放送大学教
授)
岩槻邦男
(放送大学教
授)
2 親から子への生命
の伝達:
遺伝子、染色体などが細胞という構造に閉じられた系のう
ちで、生命は世代をこえてどのように伝達され、子の世代で
どのように発現するかを紹介する。生物も物質の集合体であ
るが、生きていないものと何が違うかを説明する。
星元紀
(慶應義塾大
学教授)
星元紀
(慶應義塾大
学教授)
3 疾病の成立と遺伝:
外傷などを除いて、ほとんどの疾病は遺伝と環境の要因群
の交絡のなかでおきる。本章では単因子遺伝、染色体異常、
外的要因への遺伝的素因、外因子遺伝など、若干の場合に分
けて、疾病の成立における遺伝の役割を述べる。
近藤喜代太郎
(北海道大学
名誉教授)
近藤喜代太郎
(北海道大学
名誉教授)
4 遺伝子診断と遺伝
子治療:
疾病の機序が遺伝子レベルまで解明できた場合、診断も
DNA の分析で行われ、ある年令で起きる疾病でも誕生時に診
断でき、遺伝子の組み合わせを用いて生活習慣病への素因遺
伝子、性格、才能などもある程度の確率で予測ができる。ま
た遺伝性の疾病では、分子レベルで罹患の過程に拮抗する操
作を加えて治療することもできる。これらは医療の新分野で
あるが、倫理的に問題も多い。
羽田明
(千葉大学教
授)
羽田明
(千葉大学教
授)
5 生殖医療:
遺伝子、細胞技術の進歩にともなって、それまで自然の摂
理だった妊娠・出産が人の意志と技術の分野となった。この
ことは不妊医療を革新したが、一方では従来の価値観との衝
突を起こしている。
鈴森薫
(名古屋市立
大学大学院教
授)
鈴森薫
(名古屋市立
大学大学院教
授)
6 カウンセリングと
予知医学への応用:
本章では遺伝の問題に悩む個人の求めに応ずる遺伝カウン
セリング、遺伝学の技術・知識・予防的応用などについて述
べ、遺伝学の医学的応用の将来を展望する。羽田明羽田明
7 微生物学の生殖と
遺伝:
20 世紀の後半、生物科学は大腸菌の分子遺伝学をバネにし
て飛躍的に発展したと言える。遺伝学の発展によって何がわ
かり、何が分かっていないかを紹介する。
東江昭夫
(東京大学大
学院教授)
東江昭夫
(東京大学大
学院教授)
2004/11/08 1280627.doc
科目名ゲノム生物学(03)
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回テーマ内容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
8 植物の生殖と遺伝:
木原均らのコムギの先祖の探索以来、ゲノム解析は生物多
様性の研究にも適用されたし、資源植物の探索の武器でもあ
った。クローンは植物の基本的な生き方の一様式であり、ヒ
ツジやウシのクローンと植物のクローンはどう違うかも整理
する。
岩槻邦男岩槻邦男
9 多細胞体の形成:
多細胞生物では、親から引き継いだ遺伝子はどうやって正
確に子供を作り出すか、ゲノム生物学が知っている遺伝子の
はたらきを紹介する。星元紀星元紀
10 生物の進化とゲノ
ム生物学:
30 数億年生きている間に、生命体はずいぶんすがたを変え、
進化してきた。本章では生物にとって進化とはどういうこと
か、ゲノム生物学の立場から進化はどこまで説明できるかを
紹介する。
岩槻邦男岩槻邦男
11 バイオインフォー
マティクス:
ゲノムの解読にあわせて、プロテオミクスや脳科学の分野
で、生物科学と情報科学を融合した新しい研究分野が発展し
つつある。生物の進化もこのような手法でさらに深く追究さ
れることが期待されており、生命現象に関する既存の情報の
集成にも意が注がれている。
星元紀
岩槻邦男
星元紀
岩槻邦男
12 ポストゲノムの科
学:
ヒトの全ゲノムが解読された。それで、生命はどこまで解
明されたか。分かったこと、分かっていないことを整理し、
21 世紀の生命科学を考えたい。脳の科学の進歩によって、文
明は遺伝学でどこまで解けるか、ホットな話題になっている。
岩槻邦男岩槻邦男
13 産業とゲノム技術:
ゲノム技術は生物学・医学を改革しただけでなく、他の分
野でも大きな進歩の可能性を秘めている。一方、技術の進歩
が、新しい危険をもたらすことも危惧される。主に薬学、農
学について、ゲノム技術の応用について、さらにゲノムに関
する特許の問題を論じる。
位田隆一
(京都大学大
学院教授)
位田隆一
(京都大学大
学院教授)
14 ゲノム技術と倫
理・法・社会:
ゲノム技術によって開かれた分野は、時に伝統的な価値観
に抵触し、多岐にわたる懸念、紛争を生じている。進歩は大
きな恩恵をもたらすにせよ、技術と社会との接点にあるこの
ような問題の解決も大切であり、臓器移植、不妊医療など個
別の問題だけでなく、生命技術全体に対する倫理基準の確率
が急がれている。
同上同上
15 21
世紀社会とゲノ
ム:
21 世紀はIT
とバイオの時代ともいわれる。これらの広範囲
に及ぶ応用から、21 世紀の生活、社会、国家、国際関係のあ
り方に深い影響を与えるといわれる。前章までの知見に基づ
いて、ゲノムの科学と技術が21 世紀の人類にどのようなイン
パクトを与え、何をもたらすかを考える。
同上同上