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2004/11/08
1890310.doc 1
=物質の科学・反応と物性(‘04)=(TV)
〔主任講師:岩村秀(放送大学教授)〕
〔主任講師:梶本興亜(京都大学大学院教授)〕
全体のねらい
この講義では、物質の示す様々な状態・性質と化学変化を、熱力学と反応速度論という2つの方法論に
よって探求する。方法論の原則を実験的事実を通して理解しやすく解説するとともに、これらの原則が
どのように現代の先端的な問題に関連しているのかを解説する。
回テーマ内容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
1
序論:物質探求の
方法論:
本講義の目標と背景、概要を説明する。物質の科学は、
物質の持つ様々な性質を原子・分子のレベルで理解し、
応用への基礎を固める学問である。この講義では、主と
して熱力学と反応速度論に基づいて物質の物性と反応
を解き明かすが、この章では、気体を用いて、その方法
を簡単に例示する。
梶本興亜
(京都大学
大学院教授)
岩村秀
梶本興亜
(京都大学
大学院教授)
岩村秀
2
物質の持つエネ
ルギー:
物質はそれを構成する原子分子の運動による固有のエ
ネルギーを持っている。エネルギーの大きさを規定して
いるのは温度であり、また、エネルギーの変化は熱や仕
事として認識される。この章では、物質のエネルギーの
根源とその変化について学ぶ。
梶本興亜
(京都大学
教授)
梶本興亜
(京都大学
教授)
3
熱化学:
物質の化学変化に伴ってエネルギーの吸収や放出があ
る。これは化学変化が原子間の結合の組み替えを伴うた
めである。この章では、物質の標準状態エネルギーを定
義することによって、結合エネルギーを含めたエネルギ
ー変化を系統的に取り扱えることを示す。
同上
同上
4
物質のエントロ
ピー:
物質の状態を規定するにはエネルギー以外にエントロ
ピーという物質固有の物理量を必要とする。この章で
は、エントロピーの物理的な意味と、それが何故物質の
状態や変化を支配するかを説明する。
同上
同上
5
化学平衡:
物質の化学変化や状態変化は、最終的には平衡状態とな
る。平衡状態は、エンタルピーとエントロピーを用いて
定義されるギブスの自由エネルギーが最小になる状態
である。本章では、ギブスの自由エネルギーの中身を理
解し、化学平衡や状態変化への応用を考える。
同上
同上
2004/11/08
1890310.doc 2
回テーマ内容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
6
相平衡:
物質は主として気体・液体・固体の三つの存在形態(相)
をとる。ある温度・圧力において物質がどのような形態
をとるかは、「ギブスの自由エネルギーが最小になる」
という条件で決まる。この章では、純物質の存在形態を
ギブスの自由エネルギーから考える。
梶本興亜
(京都大学
大学院教授)
梶本興亜
(京都大学
大学院教授)
7
溶液:
この章では、二成分が共存する物質系の相平衡を考え
る。二成分が溶液や固溶体のような均一な状態になる
か、あるいは二相に分離して存在するかは、相平衡の条
件によってきまる。分留、凝固点降下、浸透圧などの現
象は二成分系における相平衡の応用問題である。
同上
同上
8
相転移:
物質の気体、液体、固体の3つの状態間の相の変化の他
に、結晶や液体状態で様々な相変化(相転移)をする物
質が数多く存在する。相転移がなぜ起こるのかを、エネ
ルギーとエントロピーの立場から、いくつかの例で解説
する。
徂徠道夫
(大阪大学
名誉教授)
徂徠道夫
(大阪大学
名誉教授)
9
高分子の物性:
高分子物質は通常の低分子量物質の分子に相当する構
成単位が鎖状に連結した分子で出来ている。分子が細長
いこと、分子の形がいろいろ変わりうることから、結晶
化や溶解性は特異であり、ゴム弾性や粘弾性のような低
分子では見られない現象が生じる。高分子のこのような
性質を、分子間相互作用、エントロピー、熱運動などの
基本的な考え方に基づいて理解することを試みる。
尾崎邦宏
(京都大学
名誉教授)
尾崎邦宏
(京都大学
名誉教授)
10
生体物質系への
熱力学の応用:
生命体の神秘を解き明かすために、生体物質の働きを
「化学」から捉える試みが盛んになっている。本講義で
は、化学反応における熱力学の基本的な概念を説明し、
核酸構造やタンパク質構造に関する熱力学の知見がバ
イオテクノロジーに利用されていることを学ぶ。
杉本直己
(甲南大学
教授)
杉本直己
(甲南大学
教授)
11
化学反応の仕組
み−基礎:
物質の化学変化、つまり、反応の速度をどう表現するの
か、その速度を支配している因子は何かなど、反応速度
の基本を学ぶ。本章では、原子分子の衝突を基本として
起こる素反応をとりあげて、反応の仕組みを考える。
梶本興亜
(京都大学
大学院教授)
梶本興亜
(京都大学
大学院教授)
12
化学反応の仕組
み−応用:
一般の化学反応は、素反応が組み合わされて起こる複合
反応であることが多い。燃焼や酵素反応を例にとって、
反応が組合わさって変化が推進される機構を考える。溶
液反応を支配する要因についても概観する。
梶本興亜
(京都大学
大学院教授)
岩村秀
梶本興亜
(京都大学
大学院教授)
岩村秀
2004/11/08
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(所属・職名)
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講師名
(所属・職名)
13
光反応と大気の
化学:
この章では、光のエネルギーで反応が進む「光化学反応」
についてそのあらましを述べ、太陽光エネルギーが降り
注ぐ地球の大気の中で起こる光化学反応が、オゾン層の
生成や光化学スモッグを引き起こす機構について考え
る。
梶本興亜
(京都大学
大学院教授)
梶本興亜
(京都大学
大学院教授)
14
エネルギー変換
の化学:
エネルギーは光、電気、熱、力学エネルギーなどの様々
な形で存在する。それを利用する際には、貯蔵や輸送に
便利で利用しやすい形に変換される。中でも、電気エネ
ルギーは利用しやすいので、これに一度変換して使われ
ることが多い。この章では、化学的なエネルギーの変換
の方法とその原理について学ぶ。
小久見善八
(京都大学
教授)
小久見善八
(京都大学
教授)
15
触媒の化学:
われわれの生活は、さまざまな有用な合成物質に支えら
れている。それらの大部分は、触媒という特定の化学反
応を媒介する機能物質によって合成される。この章で
は、触媒のもつ反応メカニズムを学び、その多様な可能
性を探る。
御園生誠
(工学院大
学教授)
御園生誠
(工学院大
学教授)