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2004/11/08
1230913.doc 1
=変化する地球環境(‘04)=(TV)
〔主任講師:木村龍治(放送大学教授)〕
全体のねらい
グローバルな視点から地球の自然環境の仕組みを学習する。特に、自然環境の変化に着目して、変化のメカ
ニズム、時間スケールに対する理解を深める。単に大気環境だけでなく、宇宙、海洋、地球内部、生物の作
用など、大気環境を取り巻く世界にも目を向け、宇宙スケールから人間スケールまで、自然界の構造とその
変化に関わる全体像を示す。
回テーマ内容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
1 地球科学の視点
1988 年以来、地球環境問題が大きな社会問題になった。
特に「地球温暖化」に対しては、さまざまな議論を生み、
地球環境と調和する社会体制はどうあるべきか、という
ような政治的な問題に発展している。しかし、「地球温
暖化」が気候の変化である以上、地球科学的な視点が欠
かせない。地球科学的な視点で環境の変化の意味を検討
し、この講義全体のパースペクティブを示す。
木村龍治
(放送大学
教授)
木村龍治
(放送大学
教授)
2
惑星の大気環境
太陽系の惑星は、ほとんど大気をもち、それぞれ、独
自の気象の営みがある。地球はそのひとつに過ぎない。
比較惑星気象学の視点から、火星、金星、木星の大気環
境と地球の大気環境の違いを考察する。
同上同上
3 宇宙から見た地
球環境
地球環境は、非常に複雑な構造をもつが、地球から遠
く離れて地球を見ると、意外に簡単な物理環境にあり、
地球環境は安定な状態に保たれている。地球が吸収する
太陽放射エネルギーと、地球からの放射される赤外線の
エネルギーのバランスで宇宙から見たときの地球の温
度が決まる。また、大気に温室効果気体が含まれるため
に、宇宙から見た地球の温度と地表面温度との間に違い
が生じる。これが温室効果である。
同上同上
4
大気循環
大気と海水の循環によって、太陽放射による加熱の地域
差が再分配され、地球が受ける太陽放射に大きな地域差
があるにもかかわらず、気温は平滑化されている。この
ような熱の再配分に重要な役割を果たしている大気循
環の構造を学ぶ。
同上同上
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回テーマ内容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
5 海水の循環
大気は地球全体を覆い、かつ、グローバルによく攪拌さ
れている。一方、海洋は大陸によって仕切られているの
で、地域的な循環が卓越する。一方、全体の海水はひと
つながりになっているので、長期的には、グローバルに
海水が混合されている。海洋は、地球表層の貯熱槽とし
て、気候の形成に大きな役割を果たしているのと同時
に、エルニーニョ現象を発生させて、異常気象をもたら
す。このような海水循環の構造を学ぶ。
木村龍治木村龍治
6 水の循環
地球環境の最大の特徴は、水が大気中で気相から液
相、固相に変化することであろう。そして、大気循環か
ら分離して、地上にもどる。すなわち、降水現象が生じ
る。これに伴い、潜熱が解放され、大気が加熱される。
また、地球の大気層の半分は、常に、雲に覆われ、太陽
放射を反射するのと同時に、地球から宇宙に逃げる赤外
線を吸収する。雲と降水の特徴は、きわめてゆらぎが大
きいということである。そのメカニズムを学ぶ。
同上同上
7 気候の形成
気候は地域によって大きく異なる。また、気候の変化
にも地域性がある。気候の地域性は、降水量と気温に支
配される。世界の気候区分は、主に植生によって分類さ
れるが、植生は降水量と気温による所が大きい。気温は
緯度と高度によって変化する。降水量は大陸の配置や大
気循環の構造に支配される。また、都市域には、都市独
特の局地的な気候がある。
同上同上
8 地球環境のライ
フサイクル
生物の生活には、日変化、年変化などの環境の周期的
な変化に対応したリズムがある。一方で、誕生、成長、
成熟、死というような一過性のライフサイクルがある。
地球環境も、生物と同じように、周期的な変化と一過性
の変化が重なっている。ここでは、特に、約10
万年周
期の氷期と間氷期の交代を取り上げ、そのメカニズムに
ついて考察する。
同上同上
9 生物のいる惑星
地球の最大の特色は、生物が発生し、多様に進化してき
たことである。過去の生物相は、従来、化石を基に再現
されてきたが、DNA
の発見以来、DNA
の塩基配列の置
換数を基に、生物の進化を論じられるようになった。生
物に進化に関する最近の考え方を紹介する。
同上同上
10
環境変化と生態
系
生物の生存は環境の状態と密接に関連している。生物は
進化の過程で、ある程度、環境に適応できる能力を獲得
したが、限度を超えて環境が変化すると生物は絶滅す
る。ここでは、深海熱水系、エルニーニョなどの環境適
応を例にして、環境変化と生態系の応答との関係を学
ぶ。
同上同上
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執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
11 地球内部の変動
長い時間スケールでみると、地球内部も常に変化してい
る。過去の変化を調べるためには、過去の時間を計るこ
とが必要である。地質学は、地層の積み重なりや化石
の種類によって過去の年代を決定してきた。それに対し
て、地球物理学的な手法で過去の年代を決定する方法が
開発され、地球内部の変動の様子がよく分かるようにな
った。同位体年代測定法や古地磁気学に基づいた絶対年
代のデータが蓄積された結果、プレートテクトニクスの
概念が生まれたことを学ぶ。
木村龍治木村龍治
12 地震と火山
日本列島は、プレートの沈み込み帯に形成された弧状列
島で、地震帯と火山帯の真上にある。日本列島の地表面
の環境は、地震と火山が作ったといっても過言ではない
であろう。一方、地震と火山噴火は大きな自然災害を生
むので、その予測が強く望まれるが、現在では、成功し
ていない。日本では避けることのできない地震と火山の
メカニズムを学ぶ。
同上同上
13 日本の気象
日本列島は、中緯度帯(温帯)に存在するが、英国やフ
ランスに比較すれば低緯度にあり、亜熱帯気候と亜寒帯
気候の影響を受ける。また、ユーラシア大陸の東の端に
位置しているために、アジアモンスーンの影響も大き
い。そのため、四季によって気象の支配要因が交代し、
四季の変化が顕著に現れる。このような日本の気象を特
徴つける気象のメカニズムを学ぶ。
同上同上
14 大規模な気候の
変化
太陽活動はきわめて安定しているので、地球上には大規
模な気候の変化は起こらないようにみえる。しかし、地
球表層には、過去に大きな気候の変化があったことがわ
かっている。その原因は何だろうか。地球が吸収する太
陽放射量を変化させる要因としては、雲が重要である。
また、大規模な火山噴火によって、大量の火山灰が成層
圏まで吹き上げられ、日射を遮る。もうひとつの要因と
して、海水の深層循環の変動がある。このような大規模
な気候変化を起こす要因について考察する。
同上同上
15 人為的な環境変
化
人口が増加し、人類の活動が活発になるにつれて、人
類の存在が自然環境に与えるインパクトが次第に増加
している。具体的には、2つの問題がある。ひとつは、
地表面の性状を人為的に変えることによって、自然の営
みに影響を与えることである。都市、水田、砂漠の灌漑、
ダムなどがその例である。もうひとつは、工業生産や日
常生活に伴う廃棄物を自然界に捨てることによって、大
気環境や水環境に影響を与えることである。一方で、人
工降雨など、人為的な気象の制御が試みられている。こ
のような人間社会と自然環境の関係について学ぶ。
同上同上