全体のねらい明治以来、西洋人が見て読み解いた日本文化の表象 (イメージ)は、同時代の政治的・経済的な力関係と、西洋世界にとっての文化的「外部」が発散する幻惑とが複雑に入り混じって、従来の日本人が自らの文化について抱いてきた表象とは大いに異なる表象を、しばしば新しい価値として打ち出してもきた。わかりやすい例で言えば、江戸時代の美の一つの凝縮でもあった日光を貶めて、桂離宮のみを日本美の精髄とする視線である。こうして、西洋人の「眼差し」を通して形作られてきた「近代と伝統との文化的重ね絵」は、現代の日本人論にもさまざまなレベルでその痕跡を残している。「表象としての日本」を分析することは、日本人論の歴史的な系譜学としても、また現代の日本人がみずからについて抱く表象を批判的に捉え返すためにも、きわめて有効な作業であり、また、学際的なチームワークによって始めてその成果を挙げうる研究であって、本学の主題科目として相応しいと考えられる。
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日本を世界に紹介した人々
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