= 心の科学(‘04)=( TV) 〔主任講師:西川泰夫(放送大学教授) 〕 〔主任講師:波多野誼余夫(放送大学教授) 〕
全体のねらい 心の科学(認知科学)の最先端で進められている「心の探求」の現状を紹介する。心をめぐる思索と思弁は、人類の精 神文明史のはじめから多彩な議論が展開されてきた。しかし一方、その明確な実証的、科学的探究は、ようやく19世 紀半ばごろから開始されなお現状においても究明途中である。その最先端での探求の様子を、基本的な基盤を提供した 個別科学の成果とともに示し、今後への展望を試みる。
回テーマ内容
執筆担当
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放送担当
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T 心の科学の成立背景−心をめぐる思弁と思索−
1 デカルトの心身二 元論。
心の科学(認知科学)の成立背景、起源を、人類文明史の上 に求め、現在の心の科学(認知科学)の直接の源流となる哲 学的・論理学的思索と思考実験をもとに紹介する。その基本 論点となる項目を挙げる。 はじめに。機械。反射。 デカルトの心身二元論。心とは。思惟。身体とは。心身問題。 言葉と自由意志。物理過程への還元。人間機械論。 西川泰夫 (放送大学教 授) 西川泰夫 (放送大学教授) 波多野誼余夫 (放送大学教授)
心の科学とは | 心とは | |
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サイエンシーズとかつて呼ばれた | CONNITIVE =COGITO |
科科学とは |
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はじめに。 ホッブスの心身一元論。心は推理(リーズン)する。 数学的論理関係と論理構造、計算。 心の記号論、計算論。人工知能研究。 心はいかに物から生成されるか。 同上西川泰夫
言葉も足し算である。 |
ピグマリオン 象牙の像があまりに見事で、人になる。(WPS) |
サイバネティックの語源は 舵をとる人 | ||
はじめに。 考えることとは。アリストテレス論理学(三段論法)。三段 論法の基本構造。 人間知性の数学。命題論理学。 結合規則の論理構造。知性の源。 述語論理学入門。知性による認識の限界? 同上同上
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アリストテレス | ||
ブール |
はじめに。 コンピュータ小史。コンピュータと心。記号計算の機械化。 はたして機械は考えているのか−チューリング・テスト−。 オートマトン(受機)。 オートマトンと言語。フレーム問題。 同上同上 U 心の科学の成立−心の実証と検証−
エニアック | ||
SEが配線を切り替える。 |
論理を回路に乗せるのは簡単だ |
論理を乗せたとして、機械が考えたと考えていいのか? |
チューリング・テスト |
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チューリング・テストに合格すればいいとした。 それで果たしていいのか? イライザ |
フレーム問題 |
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はじめに。 心の科学は可能か。 心身問題への取り組み、動物霊気の正体。 観測機器・実験装置の開発と計測・計量化。みえざる心をい かにとらえるか。 心的処理時間の計測。 ドンダースの反応時間減算法。スタンバーグ・パラダイム。 同上同上
カントの呪縛 | 観測問題:観測しようとその行為で変化してしまう。 心の不確定性原理 |
検証可能性、反証可能性 | ||
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それぞれの反応速度の差が心の処理速度・ |
はじめに。 感覚・知覚現象とは。物質からいかに心や意識は生成される か。心身の間の相互関係−ウエーバーの触2 点弁別閾実験−。 ウエーバーの法則。フェヒナーの精神物理学。新精神物理学 (スティーブンスのベキ関数)。計量心理学。 西川泰夫西川泰夫
デカルト2元論からの脱出 | ||
はじめに。 精神的分泌。パヴロフの条件反射学。脳のモデル。 一次信号系・二次信号系(高次信号系)。 脳神経細胞の構造と機能情報処理量。同上同上 V 心の科学の広がり−認知科学のフロンティア−
8 形式的ニューロン、 形式的ニューラ ル・ネットワーク
はじめに。 パーセプトロンの構成単位。 単純パーセプトロン−形式的ニューラル・ネットワーク・モ デル−。単純パーセプトロンのできること。 誤り訂正学習法。 脳のモデルに求められる要因。 パターンの空間表現。 同上同上
猫を覚えさせても | 違う猫は猫と認識できるか? |
白と黒を線で区切れない |
3次元であれば排他的OR計算がデキル。脳モ3次元につながっている |
はじめに。 情報をめぐって。 心とは情報処理システムである。 情報と情報量。 負のエントロピー概念。 情報伝達容量の限界をいかに乗り越えるか。 同上同上
はじめに。 カントの呪縛からの解放。 心の科学の基本パラダイム。 ダートマス夏季人工知能研究計画。 情報科学のシンポジウム。認知科学の成立。 認知科学会。反記号論・反計算論。 同上同上 W 心の科学と隣接分野との境界領域
カントは心の科学は不可能とした。 | ヴントの意識心理学 |
ホッブス、チューリング、マッカーシー、サイモン、ニューエル |
ミラー、チョムスキー |
心がハード的にも、ソフト的にも物質過程であると解明できたとしても、 個々がどのようなプログラムを書くかは無限の可能性がある。 故に、人の心のことは、決してわからないのである。 |
(進化)人類学を取り上げる。ヒトの心ないし知性は言うま でもなく進化の産物であり、その少なからぬ側面が進化の過 程における生態的環境への適応として理解しうる。しかし同 時に、ヒトは、過去の世代の活動の所産を文化すなわち人工 物の体系として受け継ぎ、これをないかすることによりその 知性を発達させる、特殊な動物でもある。この両面をどのよ うに統一的に理解すべきかを論じる。 内田亮子 (早稲田大学 教授) 波多野誼余夫 内田亮子 (早稲田大学 教授)
性差が大きい | 狩猟時代の活動内容が今も差としてのこっている。 |
オルドワン型 | ||
脳の大きさと文化の発展は一致してない。 | 250万年前ぐらい | ぼのぼのカンジ |
アシュリアン型 | ||
オルドワン型から100万年ぐらい進化が必要 | それぞれにアックスをつくる工程時間 |
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ネアンデルタールとホモサピエンスは心の働き自体が違うかもしれない。 |
芸術の発生 | 心の理論の発達 | |
後期旧石器の登場:象徴的な思考 ができるようになっった。これは脳にとって決定的なできごと。言語も象徴的な思考ができて初めて発生できたとされる。 |
言語科学、特に語用論との接点を扱う。ヒトが対話や文章を 通じて微妙な意味の世界を表現、理解、共有しうるのはなぜ だろうか。ヒトの心は、与えられる情報を効率的、効果的に 処理しながら、外界についての理解を改定していく。この過 程で生得的傾向、先行知識、さまざまな推論などが重要な役 割を果たす。 今井邦彦 (学習院大学 教授) 今井邦彦 (学習院大学 教授) 波多野誼余夫 2005/01/17 1625616.doc 3 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
言語学:人を人たらしめている。人の心にとっても認知にとって柱になる。 |
言葉だけでは、意味をなさない | 受けての推論があってなりたつ |
関連性理論があるから | ||
追試だから出ないだろうと自動的に推論するのはなぜか? |
亜人格的(sub−personal) | ||
ロボティックス、人工知能との接点。人の心ないし知性を理 解する一つの接近法は、その重要な側面を、人工的に再現し てみる、というものである。コンピュータの出現により、ヒ トと同様な言語的応答をするプログラムが作られるようにな ったが、最近ではそれにとどまらず、ヒトに似た身体を持っ て移動し、それと同様な行動を行うロボットを設計すること が試みられるようになってきた。 開一夫 (東京大学大 学院助教授) 開一夫 (東京大学大 学院助教授) 波多野誼余夫
機械がシッパイしても、子供はおぎなわない。 |
脳と心の関連についての関心が高まるなか、ヒトの高次な知 性の理解にも、認知神経科学からの寄与が期待されるように なった。サルなどの脳の生理学的な知見の集積に加え、生き て働いているヒトの脳を画像化する手法の発展により急速に 進展しつつあるヒト知性の認知神経科学からの情報のうち で、認知科学にとって見落とせないのはどんなことか、今後 期待されるのはどんな発展かを論じる。 入来篤史 (東京医科歯 科大学大学院 教授) 入来篤史 (東京医科歯 科大学大学院 教授) 波多野誼余夫
サルは熊手をつかえる | ||
短いクマデでまず長いクマデをたぐりよせ、長いクマデで遠くの食べ物をゲットする。 |
道具をクレというときの泣き声がちがう |
「無情 な」心の科学からの 脱却 心の科学といっても、その圧倒的に多くの研究は、知的な側 面に向けられてきた。しかし、90年代に入るころから、認 知と感情の関連が注目されるようになる。また、ヒトの相互 交渉が、「心の理論」により媒介されていることも明らかに なってきた。さらに、ヒトの心では、自己と呼ばれる部分が 特に重要であることも広く認識されるようになってきた。 高橋恵子 (聖心女子大 学教授) 波多野誼余夫 西川泰夫 高橋恵子 (聖心女子大 学教授)
感情とは何か? | ||
一次感情は生物学的は根拠がはっきりしている。 二次感情は後天的に獲得 |
基本感情 | 表情の感情についての回答率 | 感情の働き |
感情を認知 | 自己意識感情 | 自己意識感情の発達のモデル |
恥の感情 |
Lewisの恥の例 |
Lewisの恥の例 |
恥の文化 罪の文化 |
日本人にそのままあてはまるか? |
恥の表情(成人) |
恥の表情(子供) |
愛着の測定 |
愛情を言語で取り出す | 出来事の抽出 | |