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2004/11/08
1665812.doc 科目名日本列島の地球科学(03)
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=日本列島の地球科学(‘03)=(TV)
〔主任講師: 濱田隆士( (財)日本科学協会理事長)〕
〔主任講師: 福田正己(北海道大学教授)〕
全体のねらい
日本列島の形質は、地球の歴史の中で育てられてきた。しかも地殻の激動の場からの産物である。赤道直下に近い熱帯サ
ンゴ礁地帯であった部分が、プレート・テクトニクスによって北上し、アジア大陸の東縁と衝突して誕生した結果であるこ
とを、周辺の海域を含めた幅広い地球科学の眼でたどってみる。
回テーマ内容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
1 列島の特徴:
日本列島とその周辺の、海水をとり去った結果の大地形を
概観し、プレート・テクトニクスによる変動帯として成長し
てきた諸々の特徴を、グローバルな構造論の立場を通して理
解する。
濱田隆士
((財)日本科
学協会理事
長)
福田正己
(北海道大学
教授)
濱田隆士
((財)日本科
学協会理事
長)
福田正己
(北海道大学
教授)
2 列島の地質構造:
日本列島は、複雑な地殻変動の重なりとして形成されたの
で、現在見られる地質構造も複雑である。プレート衝突場の
特徴として、変成帯と非変成帯とが繰り返し配列していたり、
火山が帯状に連なるなど、豊かな歴史を反映したものである
ことを理解する。
濱田隆士濱田隆士
3 列島の気象:
現在の日本列島は、北半球中緯度で西に日本海を隔ててア
ジア大陸に向かい合い、ほぼ南北に細長くのび黒潮・親潮と
いう二大海流に囲まれ、さらに東は太平洋に面しながら、北
半球の偏西風帯に位置する。この配置が季節毎に特徴的な気
象をもたらすことを理解する。
同上同上
4 列島をめぐる海:
日本は、海洋国・臨海国家と呼ばれるのに相応しい。海洋
とは、ただ単に水をたたえた広大な低地というだけはない。
地球の自転運動により、太平洋の西縁に当たる日本列島近辺
の海水は特異な運動をとるようになっていることを理解す
る。
同上同上
5 島弧プレート運動:
日本列島は、グローバル・テクトニクスとしてのプレート
運動によってでき上がった。地球表層部にはプレートがどの
ように配置され、どのような動きをしてきたのか、列島形成
の原動力になった地殻運動のモデルを検証する。
同上同上
6 列島周辺の海底:
海の歴史は、海底の地形と地質、そしてその形成年代が語
ってくれる。海底の歴史は、プレートのどの位置を占めるか
で大きく異なる。列島地形や地質構造との調和のとれた配列
が、海底の相対的な動きを示していることを理解する。
同上同上
7 地震活動:
変動帯に位置する日本列島には、過去・現在そして未来を
通じ、地震・断層運動が激しい。地震とそれによって起こさ
れる地震災害は、日本列島のもつ宿命であることを理解し、
地震対策の現況をも併せ理解する。
同上同上
2004/11/08
1665812.doc 科目名日本列島の地球科学(03)
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回テーマ内容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
8 火山活動:
伊豆大島や雲仙普賢岳だけが火山ではない。日本列島は、
プレートの接し合う場として、地震帯と火山帯とが併存して
いるので、地質時代から現在に至るまで、多数の火山活動が
起こって現在の地形・地質を形成していることを理解する。
濱田隆士
濱田隆士
9 地史(
1 ) 古生代:
日本列島の基礎をつくり上げた古生代やそれ以前の地層が
語る歴史はまさにグローバルで、アジア大陸の要素と、今は
消え去った南海のパシフィカ大陸要素との出会いにある。化
石の語る古生代地理を考え、ダイナミックな列島形成史前半
を理解する。
同上同上
10 地史(2)中生代:
日本列島形成史に占める中生代の位置は特別である。かつ
ては古生代のものと思われてきた秩父帯のかなりの部分が中
生代前半の形成によることが明らかとなり、列島史は大きく
塗りかえられてきている。恐竜化石の産出は、大陸とのつな
がりを示すものと理解できる。
同上同上
11 地史(3)新生代:
日本列島がほぼ現在の姿になる、いわば仕上げの時代であ
り、火山活動、隆起・沈降運動も激しかった。したがって侵
食力も強く、堆積作用も大きかったので、山脈・半島・平野
の形成期となり、海流系も安定化してきた時代であることを
理解する。
同上同上
12 地下資源:
小さな島国の日本は、多種大量の資源を外国に依存してい
る。そのような中で、日本の地史を反映した鉱化作用・地下
資源鉱床の形成もあった。石灰岩やヨードなどのみが完全自
給型地下資源であることを理解し、エネルギー資源には乏し
い実情をみつめる。
同上同上
13 多島海型自然環境:
日本は島国といわれるが、それはただ列島をなしていると
いうことだけでなく、大小様々の島々を抱えた多島海的自然
環境下にある、ということに他ならない。わが国の気候・風
土・産業・文化へもその影響が大きいことを理解する。
同上同上
14 日本の地球科学の
進展:
日本列島の歴史が複雑な分、その研究史も多彩である。輸
入文化として始まった系統的な日本の地球科学を認識し、そ
れが時と共に消化・吸収され、今では日本からならではの地
球科学が、世界に向けて発信される時代となった発展の経緯
を概観する。
同上同上
15 人と暮らし:
日本列島の歴史の主役が大陸系と南方系であったことに似
て、日本列島での人類発展史・生活型にも、南方型と大陸型
とがある。自然環境に見合った風土が形づくられてきた縄
文・弥生時代以降、次第にグローバル化も混じ、現在ではヒ
トと自然の接点が変容を遂げた。
濱田隆士
福田正己
濱田隆士
福田正己