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2004/11/08 1837214.doc 1
=日本政治史−20世紀の日本政治(‘03)=(TV)
〔主任講師: 天川晃(放送大学教授)〕
〔主任講師: 御厨貴(東京大学教授)〕
全体のねらい
20
世紀の日本の前半は戦争の半世紀であり、後半は経済発展の半世紀であった。対照的な軌跡を描いた20
世紀の日本の
政治を、国際環境、憲法体制、政党と官僚、政治指導者と人々の意識などさまざまな角度からできるだけ立体的に明らかに
したい。20
世紀の日本政治の成功と失敗の経験から、21
世紀の日本の政治の糧になるものを学んでみたい。また日本の歴
史に対する多様な見方を紹介するために、代表的なアメリカの日本研究者のインタビューを行い、専門とする時期に関する
アメリカ国民の対日観や研究の一端を紹介してもらう予定である。
回テーマ内容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
1 2 0 世紀の開幕
人々は20
世紀をどのような期待を持って迎えたのであろう
か。明治新政府が発足して30
年余を経た当時の社会と、10
年
余の経験を経た明治憲法の運用状況を検討しつつ、20
世紀の
日本政治にあり得た可能性を含めて再検証する。
御厨貴
(東京大学教
授)
御厨貴
(東京大学教
授)
2 日露戦争と戦後経
営
日露戦争は国際社会における日本の存在を大きく印象づけ
るものであった。その戦争指導は軍事と外交の統合において
明治国家の頂点をなすものであった。しかし、日露戦争後は
外交上の課題に加えて国内でも戦後の新たな課題が登場して
きた。明治国家の転換点としての日露戦争を検討する。
同上同上
3 帝国主義の時代
日露戦争後の日本は対外的膨張に力を注いだ。日韓併合で
朝鮮半島を支配下に収めた後は満州の権益の維持と強化が主
たる目標となった。しかし、この政策は中国のナショナリズ
ムによる反発とアメリカを始めとする他の列強の警戒を引き
起こさざるを得なかった。国際社会と帝国日本の歩みを検討
する。
同上同上
4 政党政治と国際協
調
国内では藩閥政治から政党政治への動きが曲折を経ながら
も進んでいった。政治指導者の世代交代や第一次大戦後の世
界的な民主化への動きがこれを加速した。さらにアメリカを
中心とした作られたするワシントン体制と日本の関わりを検
討する。
同上同上
5 軍部と政治
世界恐慌は各国の政治を大きく変えた。日本では政党政治
とワシントン体制の打破を目指す軍部の勢力が台頭してき
た。満州事変から国際連盟脱退、5・15
事件と2・26
事件を経
て、日本の政治は軍部の政治に転換してゆく過程を検討する。
同上同上
6 官僚の新世代
明治国家の支柱の一つは高等文官試験制度によって選抜さ
れた官僚である。30
年代になると政党政治不信が唱え社会改
良を指向する新しい世代の官僚が登場する。新官僚さらには
革新官僚と呼ばれたこれらの官僚たちの、戦争と戦後の復興
への関わりを検討する。
同上同上
7 日米開戦と総力戦
体制
日中戦争は日本の運命を変えて行った。近衛内閣の東亜新
秩序声明はアメリカの反発を招き日米対決の構図が鮮明にな
ってきた。東条内閣の日米開戦決定、45
年の終戦に至るまで
の迷走する外交と軍部との関わりを検討する。戦争はまた国
内の政治経済体制をも大きく変えた。戦後につながる変化の
側面を見てみたい。
同上同上
2004/11/08 1837214.doc 2
回テーマ内容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
8 占領と改革
1945 年の敗戦によって帝国日本に代わる新日本の模索が始
まった。アメリカの占領政策と戦争の体験を経た日本人の復
興への努力とが相まってさまざまな改革が進められた。新憲
法の制定をはじめとするさまざまな改革の過程を検討する。
天川晃
(放送大学教
授)
天川晃
(放送大学教
授)
9 エリートと教育
教育は国家百年の計といわれる。近代日本のエリートは、
学校教育の体系を通じて試験による業績主義による選抜によ
って補充されてきた。戦後の改革によって学校教育の体系は
大きく変化した。このことがエリートの補充にとって持った
意味はどのようなものだったのか。
御厨貴御厨貴
10 冷戦と講和
第二次大戦後の世界は米ソの冷戦として再編されていっ
た。冷戦は日本の国際社会への復帰にいかなる影響をあたえ
たのであろうか。講和と安保条約の締結を指導した吉田茂の
外交とそれが残したものを検討する。天川晃天川晃
11 政党の変貌
自由民権運動から始まった日本の政党の歴史は戦時には大
政翼賛会ですべて解党した。戦後に再出発した政党は「55
年
体制」として再編成された。政党と派閥、政治とカネ、政党
の人材など政党の「近代化」をめぐるさまざまな問題を検討
する。
同上同上
12 高度成長期の政治
60 年の安保改訂を経て日本の政治は経済を中心として展開
する。国内の経済開発と福祉が国内政治の大きな問題となっ
た。自民党政治による福祉国家への道を検討する。
同上同上
13 沖縄返還と日中国
交正常化
高度成長をとげた70
年代の日本外交はどのようなものだっ
たのか。日米協調を基軸とする佐藤内閣は沖縄返還交渉を実
現させたが、日中国交正常化は田中内閣の手に委ねた。石油
危機を経てアジアに目を向ける国際関係を検討する。同上同上
14 「経済大国」の動揺
低成長時代を迎えた「経済大国」の国内の課題は財政の再
建であった。行政改革から消費税の導入、そしてリクルート・
スキャンダルの中で「昭和」の終焉を迎える。昭和末期から
平成につながる時期の内政を検討する。同上同上
15 2 0 世紀の閉幕
冷戦の終結から湾岸戦争を経て自民党一党支配が終わり、
日本政治は再編成の時期を迎える。外国の日本研究者とのイ
ンタビュー等を含めて20
世紀の日本政治の遺産を総括し、21
世紀への課題を展望する。
天川晃
御厨貴
天川晃
御厨貴