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2004/11/05
1656716.doc =(TV)
〔主任講師: 佐藤信(東京大学大学院教授) 〕
全体のねらい
日本列島の古代史像は、様々な新資料の発見によって変わりつつある。活発に越境した国際関係、掘
り起こされた各地域の歴史や古代都市の実像が明らかになり、多元的に古代史が見直されている。こう
した研究動向をふまえ、東アジアの国際関係のもと史料と史跡に焦点をあてながら、あたらしい日本列
島の古代史をたどりたい。
回テーマ内容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
1
史料と史跡が語
る古代史
文献・出土文字史料や遺跡・遺物など古代史が対
象とする多様な歴史資料を紹介し、考古学など学際
的な視野の必要性を語る。また、国際関係、中央と
地方の関係、古代都市像などをめぐり、一元的にと
らえられない日本列島の古代史像の新動向を整理す
る。
佐藤信
(東京大学
大学院教
授)
佐藤信
(東京大学
大学院教
授)
2
邪馬台国の時代『漢書』『後漢書』「魏志倭人伝」が伝える古代
社会像と、集落・祭祀・戦いをめぐる弥生時代の新
しい発掘調査成果とをつき合わせ、弥生時代の列島
の社会像を提示する。「魏志倭人伝」・吉野ヶ里遺
跡・加茂岩倉遺跡などの史料と史跡に焦点をあてる。
倉本一宏
(駒沢女子
大学教授)
倉本一宏
(駒沢女子
大学教授)
3
地方豪族と倭国
の大王
古墳時代の鉄剣銘文や「宋書倭国伝」が語る列島
世界を明らかにし、磐井の戦いにも焦点をあて、5
〜6世紀の地方豪族と大王の関係を、国際関係の中
で複眼的に見直す。稲荷山古墳鉄剣・「宋書倭国伝」・
大山古墳・三ツ寺遺跡などの史料と史跡に焦点をあ
てる。
同上同上
4
飛鳥の王権7世紀前半の大王推古時代を中心に、隋・唐が成
立する国際関係の中で、蘇我氏や厩戸王(聖徳太子)
の政治像や、仏教受容(寺院の建立)などの文化動
向を明らかにし、倭王権の支配構造を整理する。『隋
書』・飛鳥寺などの史料と史跡に焦点をあてる。
同上同上
5
律令国家の形成7世紀後半の緊張する国際関係下、「大化改新」、
白村江の敗戦、壬申の乱を経て天武・持統天皇によ
り藤原京・律令が作られ律令国家が形成される過程
を、地方豪族の動向と併せたどる。『日本霊異記』・
木簡・藤原京・寺町廃寺などの史料と史跡に焦点を
あてる。
佐藤信佐藤信
2004/11/05
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回テーマ内容
執筆担当
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(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
6
奈良時代の政治
史
奈良時代の変乱があいつぐ政治史を、皇位継承を
軸にしながら藤原氏や他氏族の動向をたどり、この
時代が貴族たちにとって決して安穏な時代ではなか
ったことを明らかにする。『続日本紀』・恭仁京・
紫香楽宮・難波宮などの史料と史跡に焦点をあてる。
佐藤信佐藤信
7
古代の宮都と地
方官衙
平城宮・平城京や長屋王邸宅の生活やその経済基
盤を、木簡や発掘成果から明らかにし、国司による
地方支配に注目しつつ、国府・郡家などの地方官衙
と在地の社会との関係について整理する。長屋王家
木簡や平城宮・国府・郡家などの史料と史跡に焦点
をあてる。
同上同上
8
遣唐使と天平文
化
遣唐使の困難な行程を吉備真備などの人物からた
どり、彼らがもたらした政治・文化を位置づけ、中
央の東大寺大仏・正倉院や地方寺院遺跡などの文物
から文化的広がりを考える。『東大寺要録』・正倉
院・大宰府跡・国分寺などの史料と史跡に焦点をあ
てる。
同上同上
9
平安王朝への道奈良時代の天武系にかわる天智系の新しい皇統の
登場、桓武天皇による対蝦夷戦争と新都造営、そし
て桓武晩年の徳政論争による両者の停止など、平安
新王朝確立への歩みを概観する。『続日本紀』・多
賀城・長岡京などの史料と史跡に焦点をあてる。
同上同上
10
平安京とその文
化
嵯峨天皇による新たな政治・文化の展開と平安京
の確立を整理し、都市平安京の成熟や平安新仏教や
カナの展開など、その後の日本文化に影響を与えた
平安初期の文化について明らかにする。『池汀記』・
平安京・東寺などの史料と史跡に焦点をあてる。
同上同上
11
藤原北家の台頭9世紀半ばからの藤原北家の台頭を、相次ぐ他氏
排斥事件とともに整理する。天皇と「前期摂関」と
の関係を軸としつつ、宇多天皇時代の政権構造や菅
原道真左遷事件など、摂関政治に至る政治過程を整
理する。『伴大納言絵巻』などの史料と史跡に焦点
をあてる。
同上同上
12
摂関時代の政治
と文化
摂関政治の構造を地方支配のあり方をふくめて概
観し、摂関時代の貴族の政務や生活のあり方を紹介
する。摂関と天皇との関係の実情や、国風文化の意
義についても明らかにする。『小右記』・『源氏物
語絵巻』・平等院(寝殿造り)などの史料と史跡に
焦点をあてる。
佐々木恵介
(聖心女子
大学教授)
佐々木恵介
(聖心女子
大学教授)
2004/11/05
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回テーマ内容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
13
受領と地方社会10世紀から地方支配の要となった受領に焦点を
あて、受領の任国支配、受領と地方豪族との関係な
どについて明らかにしつつ、承平天慶の乱など中央
と地方との関係も概観する。尾張国郡司百姓等解・
『時範記』・『将門記』・国府などの史料と史跡に
焦点をあてる。
佐々木恵介佐々木恵介
14
院政の時代後三条天皇から院政に至る政治過程を整理し、院
政期の院・天皇・摂関・受領たちの関係に焦点をあ
てて政治構造を明らかにするとともに、浄土教・平
泉などこの時代の文化について考える。『今昔物
語』・鳥羽・平泉などの史料と史跡に焦点をあてる。
同上同上
15
日本列島の古代
史
日本列島の古代史を律令国家一元論で見るのでは
なく、蝦夷・北海道の歴史や琉球における統一国家
の形成を視野に入れた上でとらえ直す観点を提示す
る。そして、講義全体のまとめを行う。
佐藤信佐藤信