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=生活科学U(‘02)=(TV)
−すまいづくりまちづくり−
〔主任講師: 本間 博文(放送大学教授)〕
〔主任講師: 佐藤 滋(早稲田大学教授)〕
全体のねらい
わが国の居住空間は、統計資料上の改善は目覚しいが、多様化するニーズへの柔軟な
対応に欠け、地域としての居住環境
はなおざりにされ、依然として多くの課題を抱えたまま改善のプロセスは明確でな
い。このような状況を変革し、居住者の
生活に適合した居住空間づくりを実践するには、専門家にただそれを任せておくだけ
ではなく、住民自ら積極的に関わるこ
とが必要であり、現にそのような状況が各所に見られようになり、そして確実に増え
てきている。本講義は、そのような居
住空間の改善に積極的に関わろうとする意欲を持つ住民が、様々な活動を行うために
必要な、実践的な、そしてやや専門的
な知識を習得することを目標とする。講義の前半で「すまいづくり」を、8章から
「まちづくり」について解説する。
回 テーマ 内 容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
1 はじめに
集まって住む、そこにおける共同の意味をより積極的に追
求しようとする動きが顕著になり、大きなうねりとして21 世
紀のすまいづくりのキーワードになりつつある。まちづくり
においても第1 の原則は住民地権者の参加である。本章では
本講義の構成と狙い、各回の内容を概説し、居住空間造りに
主体的に関わることの意味を考える。
本間 博文
(放送大学教
授)
本間 博文
(放送大学教
授)
2 コーポラティブ方式
でのすまいづくり
1970 年代に脚光を浴びたコーポラティブ方式でのすまいづ
くりは、一時の停滞期を過ぎ、今再び注目を浴びている。多
様なライフスタイルの家族、世帯が共存する都市社会におい
てすまいづくりに主体的に関わることの重要性が見直されて
きたためである。ゲストに中林由行コープ住宅推進協議会幹
事長を迎えて、コーポラティブ方式のすまいづくりの変遷、
その手法、典型事例などを紹介し、今後の住まい造りに有効
な知見を得る。
同 上 同 上
3
スケルトン定借マ
ンションによるす
まいづくり
スケルトン定借マンションのねらいとその仕組みを紹介
し、さらに今後の都市社会の中でどのような有効性を持つか
を述べる。その上で、この方式を採用してすまいづくりを行
った東京都世田谷区の2つのプロジェクトを取材し、この方
式の可能性と課題を明らかにする。とくにプロジェクトを支
援する立場のコーディネーター、設計者の役割や能力を検証
する。併せてプロジェクトを進める上で発生する様々な問題
を提示し、問題解決のための指針を示す。
同 上 同 上
4 コレクティブハウ
ジング(1)
21 世紀の社会は単に住まいを共同で造るだけではすまなく
なってきている。さらに進んで生活を共同化し、お互いに補
い合って生活の質を高めていこうとする動きが主に北欧を中
心に出てきている。どこでどのようにすむかというライフス
タイルと住宅選択の一つである。欧米での先駆的な事例を紹
介し、コレクティブハウスの可能性を探る。
小谷部 育子
(日本女子大
学教授)
小谷部 育子
(日本女子大
学教授)
5 コレクティブハウ
ジング(2)
日本でのコレクティブハウジングの動向を紹介する。グル
ープホームなど似通った用語が氾濫し混乱しているのでまず
関連用語も含めてその定義を明確にする。同時にコレクティ
ブハウジングの特徴、住宅形式、対象とする生活者像などを
概観する。その上で、阪神・淡路大震災の復興事業の一環とし
て神戸市に建設された兵庫県営片山住宅などの事例を紹介
し、公営コレクティブの問題点、民営のコレクティブハウス
建設の取り組みなどを紹介する。
同 上 同 上
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回 テーマ 内 容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
6 環境と共生する住
まい(1)
21 世紀の住まいづくりは環境負荷をいかに軽減するかが重
要な課題の一つである。建築と地球環境の問題を概観し、低
環境負荷を実現するための基本的な知見を述べた上で、今後
の取り組みについて考える。海外の先導的なすまいづくり、
まちづくりの事例を合わせて紹介する。
小玉 祐一郎
(神戸芸術工
科大学教授)
小玉 祐一郎
(神戸芸術工
科大学教授)
7 環境と共生するす
まい(2)
地域の自然的特性、社会的特性のポテンシャルを発見し、
すまいづくりに生かすことは省エネルギー、省資源を実現し
て環境負荷を減らすだけではなく、地域の魅力を引き出し、
良好な社会ストック形成に貢献する。東京世田谷の環境共生
型集合住宅、岡山倉敷の伝統的民家再生などの事例をあげな
がら、環境と共生するすまいづくりを展望する。
同 上 同 上
8 復興まちづくり
阪神・淡路大震災の後の復興まちづくりは、今日のまちづ
くりの可能性と課題、そして限界を明らかにした。住民の主
体性と行政の責任、そして専門家のリーダーシップ、さらに
蓄積されたまちづくりの技術の有効性が試されたのである。
主に神戸市野田北部地区における復興まちづくりの事例を追
ってこの問題を解明する。
佐藤 滋
(早稲田大学
教授)
佐藤 滋
(早稲田大学
教授)
9 住み続けられるま
ちづくり
災害に脆弱な木造密集市街地で1970 年代後半から、地域社
会を基盤として住環境の整備を標語に掲げながら、広範な改
善型まちづくりの試みが進められた。埼玉県上尾市仲町愛宕
地区、長崎県長崎市曙町中道地区を事例に住環境の整備を進
め「安心して住み続けられるまち」を目指したまちづくりの
成果を振り返り展望する。
同 上 同 上
10 参加のまちづくり
まちづくりの第1の原則は使用者の参加ということで、
1960 年代以後建築や造園、都市計画の分野で取り組まれてい
た最大のテーマである。目標空間イメージの共有と実践、ユ
ーザー参加、参加の技術とプログラム、デザインゲームなど
のキーワードがどのように反映しているか、その取り組みを
探る。この分野での実践を積み重ねてきた卯月盛夫早稲田大
学教授をゲストに向かえて講義を進める。
卯月 盛夫
(早稲田大学
教授)
卯月 盛夫
(早稲田大学
教授)
11 町並み保存・町の資
源を活かす
歴史的町並みの保存は、まちの資源がもっともあきらかな
形で存在しているという点では、資源をいかす町づくりの最
右翼にあるといえよう。しかし、それだけに住民の日々の生
活そのものと深くかかわる。歴史的な町並みを現代の町づく
りの資源としていかすとはどういうことなのか?
町並み保存とは、何を、なぜ、どのように保存することな
のか。埼玉県川越市を事例に取り上げ、具体的に考える。
福川 裕一
(千葉大学教
授)
福川 裕一
(千葉大学教
授)
12 まちをマネージメ
ントする
都市の中心部は、その市民生活の中心になるだけでなく、
外部の人をひきつけ、都市の経済基盤として重要な役割を果
たしてきた。その中心市街地の衰退がはげしい。これをどう
立て直すか。先駆的に取り組まれている滋賀県長浜市の試み
に学ぶ。
同 上 同 上
13 まちのポテンシャ
ルを表現する
都市と農山村を結ぶいわゆるマチは地域の交通の要衝であ
り古くから栄えた。しかし、その後の社会背景の変化を受け
て現在ではかつての面影を失いつつあるが、歴史的資源を活
かしながら新しい風景デザインの創造を機軸にまちづくりを
展開し、内外へ向けて情報発信につとめるこころみが成果を
おさめている。愛知県足助町の事例を取り上げる。
後藤 春彦
(早稲田大学
教授)
後藤 春彦
(早稲田大学
教授)
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回 テーマ 内 容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
14 まちづくりはひと
づくり
島国という日本の国土を形成する骨格は、中山間や離島等
の条件不利地域である。こうした、いわゆるムラにおいて、
行政と住民を媒介する中間セクターとしてのまちづくり研究
所等を設立し、地域資源を研究対象や教材としながら、地域
づくりの中核を担うひとづくりをすすめる方法がこころみら
れている。新潟県高柳町を事例としてとりあげる。
後藤 春彦 後藤 春彦
15 まちづくりの時代
現在まちづくりの仕掛けがありとあらゆる形で始められて
いる。それではまちづくりを切り開いていくためにどのよう
な戦略があるのだろうか。まちづくりに取り組んでいる専門
家、行政、住民のパートナーシップ、制度と仕組み、まちづ
くりの技術などについて様々な立場で関わっている人々への
インタービューを交えて探る。
最後にまちづくりは日本の独特の社会・文化が生み出した方
法であると同時に、世界の各地で近代都市計画を乗り越える
ためのさまざまな試みが行われている。台湾でまちづくりの
リーダーとして活躍中の陳両全教授のインタービューを通し
て国政的に広がりつつある状況を紹介する。
佐藤 滋 佐藤 滋