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=生命環境科学U(‘02)=(TV)

− 環境と生物進化−

〔主任講師: 石川 統(放送大学教授)〕

全体のねらい

生物の進化を環境との関わり合いに重点を置きつつ考察する。ここでとり上げる環境には、生物をとり巻く無機的環境ばかりでなく、細胞内環境、生体内環境、さらには1つの生物種にとっての異種生物の存在なども含まれる。

回 テーマ 内 容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)


1 生物進化の場としての環境

生物にとっての環境とは、物理的自然環境だけではない。細胞内環境、生体内環境、異種生物間相互作用等が生物進化にどのように影響するかを概観する。

石川 統 (放送大学教授)石川 統 (放送大学教授)


2 原始地球環境と化

学進化

原始地球の環境下で有機物が合成され、やがて生命が誕生

した。それらの過程を概説するとともに、当時の生態系につ

いても述べる。

山岸 明彦

(東京薬科大

学助教授)

山岸 明彦

(東京薬科大

学助教授)


3 生命の起源とRNA ワールド

生命の起源の頃には、RNA 分子が生命にとって不可欠の遺伝情報と触媒作用の双方を担っていたとする説が有力である。その根拠について概説する。 石川 統 石川 統

4 環境としての細胞

細胞は生物を構築する最小単位であるとともに、機能分子

にとっては環境としての意味をもっている。細胞の起源にも

触れつつ、その働きを解説する。 同 上 同 上


5 酸素と生物

原始地球上には酸素は乏しかったが、光合成生物の出現に

よって、その濃度は飛躍的に上昇した。そのことが生物進化

に与えた影響について概説する。 同 上 同 上


6 真核細胞の起源

真核細胞は異なる種類の原核細胞が共生しあうことによっ

て生まれたと考えられている。その根拠を紹介しつつ、細胞

小器官の機能について述べる。 同 上 同 上


7 多細胞生物と環境

多細胞生物を構成する細胞や組織は、周囲の生体内環境と

の整合性の下に維持されている。多細胞生物の起源とともに

生体内環境の実態について紹介する。

同 上 同 上

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回 テーマ 内 容

執筆担当

講師名

(所属・職名)

放送担当

講師名

(所属・職名)


8 葉緑体からみた植

物の進化

約20億年前、藍色細菌が宿主生物に細胞内共生し葉緑体

となり植物が生まれた。葉緑体からみた多様な植物(マラリ

ア原虫を含む)の起源と進化のしくみを解説する。

黒岩 常祥

(立教大学教

授)

黒岩 常祥

(立教大学教

授)


9 極限環境の生物たち

高温、低温、高圧、酸性、アルカリ性等さまざまな極限環

境にも微生物が生育している。これらの環境に適応するため

の戦略を、とくに温度との関係を中心に解説する。 山岸 明彦 山岸 明彦


10 補食・被食関係と進化

補食者、被食者双方の戦略を述べるとともに、第三者の介

在によってそれらがどのように複雑化するかを、いくつかの

実例を挙げつつ解説する。

松本 忠夫

(東京大学大

学院教授)

松本 忠夫

(東京大学大

学院教授)


11 寄生:食住環境とし

ての異種生物

寄生者にとっては、宿主生物の体が生きていく環境である。

寄生者と宿主の間にみられる生存のための巧妙な駆け引きと

戦略について考察する。

深津 武馬

(産業技術総

合研究所チー

ムリーダー)

深津 武馬

(産業技術総

合研究所チー

ムリーダー)


12 共生と共進化

密接な生物間相互作用である共生と、それに基づく相互依存関係の深まりである共進化について、実例に沿いつつ紹介し、その本質を考察する。 同 上 同 上
生物の多様性 共通性 進化 進化生物学

  元々ヒトツなのだから、統一できるのでは  
ダーウィン 現代の進化学説 変異 遺伝 選択

  進化の3点セット  
  進化の材料 共生とは

     
共生 マトリックス 内部共生 内部共生

     
    消化共生

     
栄養共生 発光共生  

     
     

     
     

    まるでミトコンドリア
    レンゲ

     
     

 

 
     


13 細胞内共生

究極の共生の形態である細胞内共生の例を主として分子細胞生物学的観点から紹介し、その生物進化および生物多様性増大における意味を考察する。 石川 統 石川 統
組み合わせ    

  もう一度 ヒトツになろうとする  
ラッキー ジェオン    

アメーバーとバクテリアの共生の発見    
    クラウンゴール

空中窒素の固定   植物の癌 最初は敵対
ブフネラ ボルバキア  

     
細胞質不和合    

 

 
     
     
 

 

 
     


14 環境と遺伝子

環境要因によるDNA 損傷を監視し、それを回避する機構に ついて、主として発がん、老化、および生物進化との関係を念頭に置きつつ概説する。

三谷 啓志 (東京大学教授)三谷 啓志(東京大学教授)


15 環境に働きかける 生物たち

生物は環境の資源を有効に利用するために、多少なりとも環境の改変を行う。それを大規模に行うサンゴ虫、シロアリ、ミミズ類などを例として、その生物学的意味を考える。 松本 忠夫 松本 忠夫--