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2005/01/18 1668218.doc
科目名進化する宇宙('05)
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=進化する宇宙(‘05)=(TV)
〔主任講師: 杉本大一郎( 放送大学教授)〕
〔主任講師: 吉岡一男(放送大学助教授)〕
全体のねらい
宇宙とその進化について、最新の知見に重点をおきながら論じる専門科目。宇宙がどのようにして始まり、進化して現在
の多様性に富む宇宙になったかについて、その概要は共通科目の「宇宙とその歴史('04)」で述べられている。そこでは、そ
のような事柄を研究し解明することの意味と意義に重点がおかれているのに対し、この専門科目では宇宙の進化過程に現わ
れるいろいろな天文現象についてその本性を解明すること、そこで起こっている物理過程を考慮しながら進化のドラマを構
成することに重点をおく。そのため、全体の構成を星、銀河、宇宙の3
つの階層に分け、それぞれの最先端における研究者
が分担して講義する。天文現象を観測してそこから情報を読み取ることについては、これと並行して開設される「宇宙から
の情報('05)」で詳しく議論される。
回テーマ内容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
1 進化する宇宙:
宇宙がどのように始まり、進化してきたかを時間経過に沿
って考える。それは宇宙に天体の階層構造が形成されてくる
過程である。それをとおして、宇宙の構成について描像をつ
くり、それぞれの過程において何が問題になるかを述べ、こ
の講義全体のための導入とする。
杉本大一郎
(放送大学
教授)
杉本大一
郎(放送大
学教授)
2 宇宙の進化を論ず
るための基礎法則:
宇宙の進化を論ずるための基礎的な法則のうち、放射とミ
クロの世界に関する法則、運動に関わる法則等を解説する。
また観測結果の整理によく使われる図表についても解説す
る。
吉岡一男
(放送大学
助教授)
吉岡一男
(放送大学
助教授)
3 星の誕生と主系列星:
恒星はどのようにして誕生するのか。また、太陽系のよう
な惑星系や2つの星からなる連星系がどのようにして生まれ
るのかを解説し、恒星の光り輝く原因が水素の核融合反応に
よることを示す。見えない恒星の内部をどのようにして理解
することができるかについても触れる。
蜂巣泉
(東京大学
助教授)
蜂巣泉
(東京大学
助教授)
4 恒星の進化と終末:
恒星は時間が経つにつれてどのように進化するのか、その
基礎を解説する。とくに、質量の比較的小さい中小質量星が
赤色巨星へと進化し、ガスの一部を放出し、最終的に白色わ
い星になることが、散開星団や球状星団などの観測によって
検証されることを示す。赤色巨星や白色わい星がどのような
構造を持つかについても解説する。
同上同上
5 超新星爆発と元素
の進化:
質量の大きい大質量星の進化とその最終段階としての超新
星爆発について解説する。恒星の進化の過程をとおして恒星
内部で合成された重元素が、超新星爆発をとおして宇宙空間
に供給される。それが新しい星に取り込まれて現在の地球な
どで見られる元素組成になった。このような元素の化学進化
について解説する。
同上同上
6 連星の進化と終末:
連星系は、その進化の途中で相手の星へガスを供給したり、
また、相手の星からガスを受け取ったりすることで、単独星
とは異なる進化の道を歩む。連星系における質量の交換を説
明し、それが連星系の進化にどのような影響を及ぼすかを解
説する。その結果、活動的な天体の多くが、ガスをやりとり
する連星系であるとして説明可能なことを示す。
同上同上
2005/01/18 1668218.doc
科目名進化する宇宙('05)
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回テーマ内容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
7 われわれの銀河系:
私たちの住んでいる天の川銀河がどのような天体なのかを
まず理解する。天の川銀河に存在する星やガス星雲、星団な
どの性質を合わせて理解する。銀河系の中心部に何があるか
についても考える。近傍の銀河と比較して、天の川銀河の理
解を深める。銀河までの距離測定の方法を理解する。
谷口義明
(東北大学
助教授)
谷口義明
(東北大学
助教授)
8 一般の銀河:
いろいろな形を持つ銀河の世界を探訪し、宇宙に存在する
多様な銀河を理解する。銀河の力学的性質を理解し、銀河の
構造の多様性について理解する。銀河の年齢について考え、
銀河の進化について理解する。
同上同上
9 活動銀河:
銀河の中で起こる高エネルギー現象の現場を調べる。大質
量星がバースト的に生まれている銀河を調べ、それが銀河の
進化に与える影響について考える。銀河中心核に何があるか
を考え、超大質量ブラックホールの存在を理解する。超大質
量ブラックホールを起源とするさまざまな高エネルギー現象
を概観する。
同上同上
10 銀河団:
銀河が集団になって存在している様子を調べる。連銀河(バ
イナリ銀河)、銀河群、銀河団などを例にとり、銀河の集団
としての特性について理解する。また、銀河の性質がどのよ
うな影響を受けるかについて考える。さらに、宇宙における
銀河の空間分布の様子を一般的に調べ、宇宙における構造形
成について考える。
同上同上
11 膨張宇宙:
1915 年の一般相対性理論の誕生によって、宇宙全体の進化
を数式によって記述することが初めて可能になった。一般相
対性理論に基づくフリードマン宇宙モデルについて解説し、
その進化が宇宙の物質の量などによって、どのように異なる
ことになるかを見る。併せて、膨張宇宙の特徴である赤方偏
移やハッブルの法則などについても述べ、宇宙膨張の観測的
証拠についても紹介する。
杉山直
(自然科学
研究機構国
立天文台教
授)
杉山直
(自然科学
研究機構国
立天文台教
授)
12 ビッグバン:
膨張宇宙を逆に辿っていくと、非常に高密度な初期宇宙で
あったことが想像される。ガモフによって考え出された高温、
高密度であった宇宙初期の状態こそビッグバンである。ビッ
グバンとその観測的証拠である宇宙マイクロ波背景放射につ
いて解説し、宇宙の辿ってきた熱史を紹介する。
同上同上
13 宇宙の階層構造:
現在の宇宙は、惑星、星、銀河、銀河群、銀河団、そして
宇宙の大規模構造と、非常に多様かつ階層的な構造を示して
いる。ここでは、銀河より大きいスケールの構造がいつ、ど
のように膨張宇宙の中で形成されてきたかについて、数値シ
ミュレーションの結果も交えて解説する。それらを、最新の
観測成果と比較する。
同上同上
14 宇宙の進化と運命:
膨張宇宙の進化を決定づける物質密度、空間曲率、宇宙項
などがどのように決められてきたかを解説する。とくに、宇
宙マイクロ波背景放射の温度揺らぎや、遠方の超新星の探査
などについて述べる。その結果、私たちの宇宙が今後どのよ
うな運命をたどるのかについて、見ていく。
同上同上
15 宇宙はなぜ進化する:
これまでの講義では、宇宙がどのように進化し、現在の宇
宙にどのような階層構造と多様性が実現されているかを見て
きた。いっぽう物理学の一般的な理論によると、閉じたシス
テムのエントロピーは増大し、構造や多様性は消失する、す
なわち物事は「進化」とは逆の方向に進むことになる。それ
にも関わらず宇宙が進化してきたのは何故であろうか、そこ
でどういうメカニズムが役割を果たしているのであろうか。
このことに関する反省をとおして、非線形・非平衡の世界観
に至る。
杉本大一郎杉本大一郎