HOME
=心理臨床の世界(‘03)=(TV)
〔主任講師:滝口俊子( 放送大学教授)〕
〔主任講師:桑原知子(京都大学大学院助教授)〕
全体のねらい
心理臨床の実践活動は、スクールカウンセリングや心理教育相談室・学生相談室などの教育領域、企業内の相談などの産
業領域、病院や保健所などの医療・保健領域、福祉の領域、家庭裁判所や警察などの司法・矯正領域、開業心理臨床等など
において、活発に行われている。本講座では、これらの活動の基盤である理論と技法の解説と、心理臨床の実際を紹介した
いと思う。
回テーマ内容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
1 心理臨床の本質
日本心理臨床学会理事長・日本臨床心理士会会長の河合隼
雄先生をゲストスピーカーに迎え、長年にわたる心理臨床実 践、諸外国との活発な交流、臨床心理学以外の世界との対話
など、豊かな経験に基づいて想い至られた、心理臨床の本質 について語っていただく。 滝口俊子 (放送大学教 授) 滝口俊子 (放送大学教 授)
2 箱庭療法の理論と
実際
日本箱庭療法学会創設者河合隼雄先生がカルフ,
D.から砂
遊び(Sandspiel)を学び、1965
年に日本に導入以来、著しい
発展を遂げている箱庭療法について、河合隼雄先生をゲスト
スピーカーに迎え、理論の特徴や治療機序、作品の展開につ
いて、具体的にお話しいただく。
同上同上
|
|
|
 |
 |
 |
箱があるのに世界をまた区切っている。非常に治療困難 |
母親に依存しておりから出ない。のびのびしてない。 |
チラッと策と押している。外に出ようという意思が垣間見れる。 |
|
|
|
 |
 |
 |
一見普通だが |
一番手前にビッシリと策があり、世界が分断されている。 |
動物の世界と人間の世界が分かれている。しかし剥製であった。やがて動きだす。次の日学校に行く。 |
|
|
|
 |
 |
共通性がある。 |
|
|
|
3 行動療法の理論と 実際
行動療法の理論の中から、オペラントコントロール、社会
的学習、認知論を取り上げて解説する。次いで、行動療法の 適応とされる不登校、摂食障害、強迫性障害、ソーシャル・
スキル等を取り上げ、具体的に治療の進め方、治療の経過、 治療の効果について検討する。 上里一郎 (広島国際大 学学長) 上里一郎 (広島国際大 学学長)
|
|
|
 |
 |
 |
食べ物を与えるときに音を出す |
音を聞いただけで、唾液を分泌する。強化も消去もできる。系統的脱感作 |
|
|
|
|
 |
 |
 |
社会的学習 エルフ。エフィカシー |
まず効力予期を高めないと、だめ |
|
統合失調症(精神分裂病)者の技能訓練 |
抑うつの認知行動療法 |
ベックの認知療法 |
 |
 |
 |
|
|
1悪いことばかり考える 駄目な人間と反射的に考えてしまう。 2数学ができないとバカだ
3仕事が駄目な人間は駄目だ |
4
クライエント中心
療法/パーソンセ
ンタード・アプロー
チの理論と実際
ロジャース, C.R.(1902〜1987)が創始した療法/人間への
接近法は、基本的な態度・考えは変化していないが、その実
践・対象は発展・展開し、変化してきている。理論の誕生か
ら発展へ、基本的概念について、具体的に触れてみることを
目標とする。
田畑治
(愛知学院大
学大学院教
授)
田畑治
(愛知学院大
学大学院教
授)
ロジャース, C.R.(1902〜1987)が創始した |
|
|
 |
 |
 |
|
母親を治すと、子供も治る |
|
5
精神分析の理論と
実際
心理臨床の実践を支える基礎的学問は幾つかあるが、その
中で重要な基本的認識を与えているのがフロイト,S.によっ
て創始された精神分析であろう。本講義では、精神分析の基
礎的考え方とその実際について紹介したい。
乾吉佑
(専修大学教
授)
乾吉佑
(専修大学教
授)
6
トランスパーソナ ル心理療法
心理学の新たな潮流であるトランスパーソナル心理学の立
場に立つ心理療法の基本的な姿勢および代表的アプローチの いくつかを紹介する。特に、プロセス指向心理学の実際につ いて、青木聡氏をゲストに迎え、実践する。
諸富祥彦 (明治大学助 教授) 諸富祥彦 (明治大学助 教授)
ウィルバーの”いのち”のライフサイクル |
|
|
 |
 |
 |
|
肯定道: |
第一段階 個としての”自分”を確立する。
周囲の人間関係のしがらみを断ち切る。他者の期待に答え、喜ばせる”偽の自分”を演じるのをやめる。
うちなる心の傷へのとらわれや執着から開放されて、個としての”自分”を確立していく。
”自分が生きている”と実感できる自分、自己決定・自己決断できる自分の確立。”自分の人生の主人公”になる。
”プレパーソナルからパーソナルへ”の段階。 |
|
|
|
 |
 |
 |
第二段階 自分を超えた”いのちの働き”に目覚める
個を確立し、自分の人生の主人公になった人が、しかし、つながりから切り離された個であるがゆえに襲ってくる実在的不安に駆られ、ただひたすらに心理を、人間として”ほんとうの生き方”をどこまでも問い求めていく。
この問いの極限において、もはやいかんともし難い限界に直面し、その問いそものもが破れる時、人は究極の真理(=この世界の一切は空である)に目覚める。
”パーソナルからトランスパーソナルへ”の段階。 |
第三段階 日常の中で、自分を超えた”向こうからの呼び声”を聞く
いったん究極の真理を体験した人は、この世界の万物、この人生の一切の出来事が、そのままの姿で真理の完全な現れであることを知っている。したがって、この世界、この自分のあるがままの姿を、そのままで肯定し、受け入れ、悦ぶことができる。
地に足の着いた、ごく普通の日常生活をしっかりと送りながら、まさにそのただ中に自分を越えた向こうからの"呼び声”を聞きつつ生きていく。
外的な実現よりも内的な体験にリアリティを感じる。間のとれた姿勢で、遊び心を楽しみ、濃密な時間を享受する中で、魂が豊かに育っていく。
”トランスパーソナルからパーソナルへ”の段階。 |
トランスパーソナル心理学の基本的な考え方
この人生のすべての出来事には意味がある。
人生のプロセスは私たちが気づく必要のあるたいせつな"メッセージ”を運んできてくれている。
|
|
プロセス指向心理学 |
|
|
 |
|
|
ミンデル |
|
|
プロセスワークの実際 |
|
 |
 |
|
|
|
|
7
グループアプロー チの実際― 出会 いから別れまで―
見知らぬ者同士が出会い、一緒に課題に取り組むグループ ワークの映像を通じて、「出会い」「関係の深まり」そして
「別れ」といった、基本的な人間関係のプロセスと、それに まつわる感情を共有することを目的とする。 石浩一 (京都文教大 学教授) 石浩一 (京都文教大
学教授)
グループアプローチの歴史 |
グループアプローチの分類 |
|
 |
 |
 |
|
|
|
|
手あわせ |
足ウラあわせ(沈黙) |
 |
 |
 |
XXさんの家族は・・・・などという風に一対イチで話したことを、他個紹介として発表 |
|
|
|
ダイビング |
森を散策して気に入ったものを持って帰る |
 |
 |
 |
|
|
|
どうしてソレが気に入ったかを説明 |
これを複合させる。 |
|
 |
 |
 |
|
幼いころにやったことであり、少し退行していく。 |
|
ライブマスク |
これに色を塗ったりして、劇をしたりする。 |
コンパ(ウラの世界での展開) |
 |
 |
 |
|
|
|
作品を山に返す |
|
|
 |
 |
 |
返し方は自由。ちぎったり燃やしたり。 |
埋葬したり。 |
どう処理したかを発表。 |
ミサンガを編む |
切り分け分配する。 |
構成的エンカウンター |
 |
 |
 |
|
|
|
8
現代を生きる男 性・女性
現代は、様々な価値観が錯綜する時代である。その中に生
きる人間は、自らの価値観、生き方を改めて明確にしていく 必要に迫られる。就職、結婚、出産といった人生の中での大
きな出来事についても、様々な変化が生じている。現代を生 きる「人間」について、心理学的な観点からアプローチして みたい。 桑原知子 (京都大学大 学院助教授)
桑原知子 (京都大学大 学院助教授)
|
|
|
 |
 |
 |
|
|
実は 完璧な生き方はない。女性でも年齢によって違うが、男性グループと女性の年配グル−プはにている。普段から違う人ばかりなのである。 |
9
教室で生かす心理 臨床
学校現場で心理臨床的アプローチの必要性が高まってい
る。しかし、学校現場では、必ずしも心理療法をそのまま適 用することは難しいことがある。現場でおこってくる事例を
もとに、教育における心理臨床的アプローチについて、わか りやすく提示したい。 同上同上
10
少年問題と家族の心理臨床
家庭裁判所調査官の扱う少年事件や家事事件の事例を通し
て、現代の非行少年や家庭の深層にせまる。(可能な方法で) 事例を再現し、少年や家族の心理についての理解を深めると
ともに、調査官の仕事の実際、事件の取り扱いの流れについても紹介できるようにしたい。 同上同上
審判 |
|
|
 |
 |
|
非常に近い |
ワンテーブルの時もある。 |
|
神戸の事件の審判(この場合は例外的に公開された)一部 |
   |
罪を憎んで人を憎まず。 |
11
「もう一人の私」
「自分」を理解する上で、「もう一人の私」という視点は
大きな意義をもつ。多重人格や二重身といった症状は心の不
思議を教え、「影」というとらえ方は心の深みを垣間見せる。
事例、映画、文学作品、演劇、絵画などの中に「不思議」や
「深み」を探ってみたい。
同上同上
|
多重人格(人格乖離障害) |
|
|
  |
|
|
|
|
|
二重身 |
|
|
  |
|
|
ドッペルゲンガー、鏡に自分が映らない、見えないが自分の後ろに自分がいる気がする。
普通の人でも、寝ぼけている時などに起こる(ゲーテ)ドストエフウスキー「2重人格」(実際には2重身)、モーパッサン 「オルガ」、ポー「ウイリア・ウイルソン」、ホフマン、遠藤周作「スキャンダル」 |
|
|
|
|
 |
 |
 |
|
もう一人の私を見たときたいていは恐怖をもち、殺したいとおもう。
書いた作家は自殺したり狂ったりしている。心理学者ですら、ある。
逆に宇宙で悟りを開いたりする。 |
|
|
ルグインの「ゲド戦記」 |
|
 |
 |
|
|
自分の影に追いかけられるが、あるとき逃げるのをやめる。 |
|
12
学生相談にみる現代の若者
複数の大学において学生相談において数多くの学生たちの
相談に携わる平野学氏をゲストスピーカーに迎えて、現代の
学生たちの姿を追求する。若者の心理を通して、現代社会の
諸問題を考えたい。滝口俊子滝口俊子
13
子育て支援の心理臨床
子どもの数が減少し、子どもと親しく接する機会なく親に
なって子育てに戸惑っている親たちへの、支援活動について
紹介する。ゲストスピーカーに東山弘子氏を迎え、子育て支
援研修会の様子を紹介しながら、現代社会における子育てに
ついて考える。
同上同上
|
|
|
 |
|
|
子供のことで困ったときに相談するのは90%夫。 母親のネットワークも必要。 |
|
|
14
こころの傷の克服
に向けて
心理臨床における今日的な活動である、災害・犯罪・虐待・
事件などの被害にあった人々のこころの傷の克服に向けての
援助について、ゲストスピーカーに支援活動の経験豊かな倉
光修氏を迎えて、その実際と課題を紹介する。同上同上
15
高齢者に学ぶ
高齢者の増加に伴い、社会の様相も変化している。高齢者
支援を構想する際に、人生の先輩である高齢者に学ぶことを
考えたい。お年よりが生活される場に心理臨床に携わる大学
院生と共に訪問し、人間が生きる課題を考え合う。同上同上