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=生涯発達心理学(‘02)=(TV)
〔主任講師: 小嶋秀夫(京都学園大学教授)〕
〔主任講師: やまだようこ(京都大学大学院教授)〕
全体のねらい
乳幼児期から老年期を含む生涯にわたる人間の心理学的発達の主要な問題を学ぶことにより、生涯発達の視点を理解する
ことを目指す。個体の発達的変化の姿、それにかかわる個体側と環境側の条件間の相互調整的変化を重視する。それぞれの
発達の道を辿る違った世代の人々が日常生活の中で形成し展開する対人関係と、その背後にある社会・文化の働きに目を向
ける。
回テーマ内容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
1 生涯発達心理学とは
生涯発達の視点・考え方とその歴史を概観し、全15
回への
導入を行う。発達的視点そして生涯発達の視点の特徴、年齢
的変化への関心をもたらす社会的・文化的諸条件、そして生
涯発達心理学の役割とは何かを論じる。
小嶋秀夫
(京都学園大
学教授)
小嶋秀夫
(京都学園大
学教授)
2 生涯発達の心理学的
研究の課題と方法
発達心理学研究の中心的問いと、それに答えるための主要
な研究方法を説明する。その上で生涯発達を扱おうとする際
に生じる問題を提示して、発達研究の結果を理解・解釈・評
価するために必要な視点・考え方を提起する。
同上同上
3 人生の出発:発達の
基礎としての愛着
子どもは誕生直後から他者との関係の中に生きている。特
に親との愛着関係は、人の心身発達の基礎となる。愛着の成
立に絡む諸要因およびそれが個人の生涯発達過程に対して持
つ意味について親子双方の視点から考える。
遠藤利彦
(京都大学大
学院助教授)
遠藤利彦
(京都大学大
学院助教授)
4 乳幼児期の認知と
ことばの発達
乳幼児期のわずか数年の間に子どもは実に多くのことを学
習する。そして、その基盤になるのがことばや象徴機能の発
達であり、また心というものに対する気づきである。認知能
力の発達を中心に、人の心の成り立ちを探る。
同上同上
5 乳幼児期における社
会的世界の広がり
子どもは徐々に親以外の様々な他者と関係を深め、またそ
の中で自分の欲求や感情を調節し、他者に対して思いやりを
示すことができるようになる。乳幼児期の自己や他者の理解
および感情制御や共感性の発達を概観する。同上同上
6 子ども時代の環境
世界
子どもを理解することは、子ども達が生きている環境世界
を理解することでもある。子どもの生活が展開する家、とな
り近所、学校といった生活空間において、世界をとらえる枠
組みが形成される過程を見ていく。
南博文
(九州大学大
学院教授)
南博文
(九州大学大
学院教授)
7 児童期の学びと仲
間世界
学習面での概念的思考や仲間との集団関係が重要になる児
童期の認知発達と社会的発達を、自己中心性からの脱却、ル
ールの発生、公平感・道徳性などの観点を含めて考察する。
同上同上
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回テーマ内容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
8 思春期:子どもから
の脱皮と揺れ動く心
思春期への移行に伴う諸問題として、身体成熟と身体意識
の変化、親に対する依存と独立の葛藤、親子間の相互調整的
変化、中等教育への移行と学校環境への適応、おとなと子ど
もの世代間の意識のずれ等を解説する。
平石賢二
(名古屋大学
大学院助教
授)
平石賢二
(名古屋大学
大学院助教
授)
9
青年期:アイデンテ
ィティの探求と社
会的関係
青年の自我意識の高まりとアイデンティティ探求のプロセ
スを中心に扱い、その発達の背景にある認知発達過程、親子
関係、同世代の友人関係、教師−生徒関係等が果たしている
役割について解説する。同上同上
10
成人前期:おとなと
しての意思決定と
親密性
青年期後期から成人前期の発達課題として、時間的展望の
発達と進路選択・職業決定のプロセス、異性との親密な関係
の形成と性役割観の発達、結婚や子育てなど親密な人間関係
をつくる問題について解説する。同上同上
11 人生なかば:危機と
成熟
中年期は、社会的にも家庭的にも責任が大きく、世代間ギ
ャップの矛盾にもさらされ、人生前半から後半への移行期と
して危機的な時期でもある。中年期の捉え方と人生後半の再
編について考える。
やまだようこ
(京都大学大
学院教授)
やまだようこ
(京都大学大
学院教授)
12 成人後期:世代を育
み伝える
成人後期のテーマとして、生成継承性、心理的成熟、世代
間伝達、病や死の看取りの問題をとりあげる。とくにエリク
ソンの発達理論と人生の物語研究をもとに、次世代への連関
としてのライフサイクルを考える。同上同上
13
中高年期の心理的
機能変化をもたら
す要因
これまでの研究の成果を踏まえ、中高年期に起こる心理的
変化の特徴を把握する。その上で、エイジングの個人差を生
む生物学的・環境的要因、そして生活史を含めた個人側の要
因を探り、さらに時代的変化にも言及する。小嶋秀夫小嶋秀夫
14 老年期の生活の
諸相
人生を舞台(ステージ)として見ていく立場から、老年期
の生活構造に生じる変化と、それが個人の住まい方、ライフ・
スタイルや対人世界とどのように関わっているかを、人生移
行という側面から考えていく。南博文南博文
15 生涯発達心理学の
課題と未来
高齢化、情報化社会を迎えて、「進歩」概念から脱却し、
文化・歴史的分脈のなかでの変化を重視した新たな生涯発達
理論と方法論への転換が求められる。人の生き方の多様性と
柔軟性を視野に入れて未来を展望する。
やまだようこやまだようこ