HOME
2004/11/08 1281160.doc 科目名= =(R)・(TV)
1/2
= 若者の科学離れを考える(‘04)=(TV)
〔主任講師: 岩村秀(放送大学教授)〕
〔主任講師: 中島尚正(放送大学副学長)〕
〔主任講師: 波多野誼余夫( 放送大学教授)〕
全体のねらい
「若者の科学離れ」は、今やグローバルな問題となっている。何が若者の科学への関心を希薄にしているのか。「科学」そのものに
問題はないのか。科学教育の当事者や関係者はどのように対応しているのか、実態と問題点を明らかにする。最後に、若者に科学の
心を呼び戻すために科学および科学教育関係者は何を目指し、何をなし得るか、またそのしくみを考察する。
回テーマ内容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
1 科学離れの現象
科学に対する若者の関心の希薄化、教育動機と学習動機の乖
離、基礎学力の低下、科学雑誌の相次ぐ廃刊等の現状を調査資料
に基づいて紹介し、本主題科目の視点・構成について説明する。
岩村秀
(放送大学教
授)
中島尚正
(放送大学副
学長)
波多野誼余夫
(放送大学教
授)
岩村秀
(放送大学教
授)
中島尚正
(放送大学副
学長)
波多野誼余夫
(放送大学教
授)
|
|
|
|
中間科学 |
|
|
|
|
2 ヒトの知性の中
での科学の位置
「科学」という言葉が最近では輝かしく豊かなイメージを失
ってきた。これは長い間「科学」を代表してきた物理学の持つ
繰り返し実験の可能性に対し個別性や1回性を特徴とする生命
や環境に時代の関心が移ってきたこと、カオス・複雑系研究に
よって法則の理解に基づく予知と制御という世界観が崩れ始め
たこと、理論が主でありテクノロジが従であるという優位関係
が逆転したこと、などによる。
波多野誼余夫
黒崎政男
(東京女子大
学教授)
波多野誼余夫
黒崎政男
(東京女子大
学教授)
3 「科学」は必要と
されているか
20 世紀をリードした物理学は、時空と物質の世界観を一新さ
せて、自然科学の世界に「物理帝国」を築いた。しかし、現代
の自然科学の関心事と、私たちにとって最も未知なるものとの
間に乖離が生じていないだろうか。吉川弘之(前日本学術会議
会長)、佐藤文隆(元日本物理学会会長の話を核にしてこの問
題を考える。
中島尚正中島尚正
4
豊かさの源と
しての科学
科学はものの見方や理解の仕方に多大な影響を与えることだ
けでなく、豊かさへの夢の実現にも深くかかわっている。豊か
さの享受に多大な影響を与えている製品や生産の技術に関わる
工学に注目して、若者への動機付けの観点から工学について発
展の経緯、産業や社会との関係を考える。
同上同上
5
科学と社会T
科学・技術と
社会の結びつ
き
今日、科学・技術と社会の結びつきは、ますます密接にまた
複雑になってきている。このため、科学・技術の理念、方法論、
枠組み、政策、倫理、経済効果、社会論などを扱うには、科学
史、科学哲学といった伝統的な学問の枠組みを超える必要が生
じてきている。この問題がどう扱われるべきで、現状がどうな
っているかを、ゲスト池内了(名古屋大学大学院教授)及び、
科学技術社会論学会の初代会長小林傳司(南山大学教授)に聞
く。
岩村秀岩村秀
6
科学と社会U
社会の持続的
発展のために
科学とその技術は、人類に測り知れない恩恵をもたらしたが、
同時に成層圏から海洋に至る地球環境に少なからぬ影響を及ぼ
している。環境保全・安全問題に対して、科学はどのような役
割を果たすことができるか、OECD の言う持続可能な開発・発展
とそれに対する化学の役割について、御園生誠(工学院大学環
境化学工学科教授)に聞く。
同上同上
2004/11/08 1281160.doc 科目名= =(R)・(TV)
2/2
回テーマ内容
執筆担当
講師名
(所属・職名)
放送担当
講師名
(所属・職名)
7 科学教育の出発
点
教育を受ける以前の乳幼児や、いわゆる義務教育の普及してい
ない社会に住む人々が、世界のいくつかの側面について因果的説
明を可能にする知識を持つことが最近の認知科学的研究により明ら
かにされつつある。また、乳幼児といえども予期されないできごとに
たいして「驚き」を示す、という証拠もある。こうした有能さは、科学教
育の出発点として無視し得ない。
波多野誼余夫波多野誼余夫
8 科学教育の体系
我が国における初中等教育、高等教育、生涯教育の実態
の一端を教室訪問で示し、課題ならびに、教育行政の姿
勢について考える。日本学術会議も教育体系の再構築を
積極的に考えている。
岩村秀
小林啓二
(城西大学大
学院教授)
岩村秀
小林啓二
(城西大学大
学院教授)
9 海外の科学教育
先進諸国の大学における理工系離れを統計でみる。数学/自
然科学が文化の一つになっているフランスでの教育の実態を、
ゲスト中谷圭太郎(ENS de Cachan 教授)に聞く。理工系離れ
を食い止める策が功を奏し始めている国もある。数学・理科教育
到達度に関する国際比較調査の結果と受け止め方に触れる。
岩村秀岩村秀
10
科学教育のため
の教員養成と生
涯教育
教員養成システムと教育行政、指導要領と教科書、教育委員会の
役割と実態、生涯教育に向けた放送大学の取り組みなどの諸問題
について、麻生誠(放送大学副学長)をゲストに迎えて聞く。
岩村秀
小林啓二
岩村秀
小林啓二
11 産業界が期待す
る科学教育
産業界の執行役員や技術の指導者が期待する科学教育とは。
また彼らの後継者に期待される科学教育とは。意識改革、科学
リテラシー、リカレント教育をキーワードにして、産業界の提
唱を、ゲスト:舘糾(鐘淵化学工業(株)相談役)に聞く。
岩村秀岩村秀
12 科学教育と学会
学会は、自らの会員の研究発表・討論の場を整備することを目的
とする傍ら、専門家集団として、科学と社会の関わり、科学教育にも
深い関心を示している。日本化学会、日本物理学会等における科学
教育への取り組みを、ゲスト細矢治夫(化学会)、兵頭俊夫(物理学
会)に語ってもらう。
岩村秀
小林啓二
岩村秀
小林啓二
13
マスメディア・科
学博物館と科学
教育
先進諸外国に比べて科学雑誌の部数の伸び悩みがあり、その
結果としての相次ぐ廃刊等が目に付く。放送メディア、新聞、
出版等のマスメディアや科学博物館における科学教育の取り組
みと課題を紹介し、編集者、博物館員等と一緒に考える。
岩村秀岩村秀
14 学校科学教育の
刷新
学習者の知的探究とそれを通じての知識の構成をめざす、科学教
育の刷新的な試みのいくつかを、我が国と米国を中心に紹介し、
いわゆる「注入型」の教育との違いを検討した研究結果にもとづき
その効果と可能性を考察する。
三宅なほみ
(中京大学教
授)
波多野誼余夫
三宅なほみ
(中京大学教
授)
15
21 世紀の科学
教育
今日の科学・技術の姿、これらと社会との関わり、及びこれら
の教育がどう行われているかという前章までに見て来た分析を
整理し、若者に科学の心を呼び戻すための提言・提案を取りま
とめる。若者と成人の科学離れを同時に考えるべきであり、多
様な教育機会を活用することにより、様々な可能性が開けてき
ている。しかしながら、「若者の科学離れ」の治癒には、5年、
10 年と言う地道な努力が必要である。
岩村秀
中島尚正
波多野誼余夫
岩村秀
中島尚正
波多野誼余夫