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=環境マネジメント(‘02)=(TV)

−環境問題と企業・政府・消費者の役割−

〔主任講師: 山口 光恒(慶應義塾大学教授)〕

全体のねらい

環境問題の対象が、従来の公害問題から、地球温暖化・オゾン層破壊などの地球規模

の環境問題に拡大している。これに

伴い企業、消費者、政府などの役割に大きな変化がみられる。本講座ではこれら当事

者の新たな役割を探ると共に、地球温

暖化、廃棄物問題、環境保護と自由貿易の両立については特に章を設けて検討する。

回 テーマ 内 容

執筆担当

講師名

(所属・職名)

放送担当

講師名

(所属・職名)


1 地球環境問題とは

はじめに、公害問題との対比で地球環境問題の特徴を述べ

る中で、持続可能な発展(sustainable development)につき説明

する。次いで地球環境問題の原因と本質を探り、政府、企業、

消費者等の役割に簡単に触れる

山口 光恒

(慶應義塾大

学教授)

山口 光恒

(慶應義塾大

学教授)


2 地球環境問題と企業

企業が変わらねば環境問題は解決しない。企業を動かす主

体である政府、消費者・NGO、企業、自治体、金融機関、投

資家等と企業の関係を考える。次に、企業を取り巻く世界の

情勢及び日本企業の対応を概観し、企業経営と環境問題の関

わりに触れる。

同 上 同 上


3 ISO 環境管理システ

国際標準化機構(ISO)での環境管理標準化の経緯を振り返

り、このうち特に第三者認証の対象でもあるISO14001 環境管

理システム制定を巡る国際会議での日米欧の立場を解説す

る。その上で、14001 のポイントと日本企業の対応を海外の事

例も含めて紹介し、認証取得の意義について考察する。

同 上 同 上


4 製品面での環境配

慮(LCA)

製品面での環境配慮の中核となるのは、製品の製造・使用・

廃棄のライフサイクル全体を通した環境への影響評価(LCA)

である。ISO のLCA 規格の内容を説明し、オランダで研究が

進められているエコ・インディケーターを紹介し、その後日

本の状況を概観する。それと並んでLCA 手法による製品比較

広告の困難性も検証する。

同 上 同 上


5

環境問題への経済

学による診断と処

方箋

環境政策の目標は、環境問題をどう診断するかに依存する。

経済学による環境問題の診断とそこから出てくる処方箋につ

いて論じる。経済学による診断とは「外部負経済」という捉

え方であり、そこから出てくる環境政策の目標は効率性の追

求となる。また、代表的な処方箋は課税による外部負経済の

内部化である。

岡 敏弘

(福井県立大

学教授)

岡 敏弘

(福井県立大

学教授)


6 環境政策の諸手法

外部負経済の内部化という観点から、環境政策の諸手法を

体系化する。諸手法は、課税、政府規制、賠償と責任にくく

られる。ここでは特に、政府規制と賠償・責任に焦点を当て

て、それらが外部負経済たる環境汚染を制御するメカニズム

を解明する。

同 上 同 上


7 いわゆる経済的手法

環境政策の手段のうち、近年注目を集めている「経済的手

法」の理論上の意義と現実とについて述べる。経済的手法と

は課税と排出権取引である。課税は5でも述べたが、近年注

目されている形態は「ボーモル=オーツ税」と言われているも

のである。補助金政策についても論じる。

同 上 同 上

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回 テーマ 内 容

執筆担当

講師名

(所属・職名)

放送担当

講師名

(所属・職名)


8 政府規制と費用便

益分析、経済と倫理

合理的な政府規制のための手法としての費用便益分析の理

論と限界について論じる。その限界から出てくる費用効果分

析の意義についても述べる。また、経済的効率性と、衡平や

正義の概念との関係を論じ、その中に、環境政策をめぐる諸

論点を位置づける。

岡 敏弘 岡 敏弘


9 消費者、NGO の役割

消費者は企業行動を変える有力なアクターである。欧米を

中心にグリーンコンシューマーの動きを探る。消費者は住民

でもある。日本の廃棄物処分場建設にみるごとく環境保護面

での住民の役割も大きい。NGO(非政府組織)は政策提言能

力を持ち、実際の環境政策に影響を与えている。日米欧のNGO

の実態に迫る。

山口 光恒 山口 光恒


10

地球温暖化

( IPCC 第3 次報

告)

1990 年のIPCC(気候変動に関する政府間組織)第1次報告

は気候変動枠組み条約締結に、95 年の第2次報告は京都議定

書採択に大きな役割を果たした。講義では2001 年の第3次報

告を中心に、温室効果ガス排出見込みとその影響、それに対

する適応策と防止軽減策等につき解説する。

同 上 同 上


11

地球温暖化

(気候変動枠組み

条約と京都議定書)

1994 年発効の気候変動枠組み条約の背景と内容、基本理念

を解説し、問題点を探る。次いで1997 年に採択され、先進諸

国に初めて数量目標を課した京都議定書の内容と、ここで新

たに導入された排出権取引等の「京都メカニズム」等につい

て検討し、京都議定書全体の評価を行う。

同 上 同 上


12

地球温暖化

(議定書の論点と

国内対策)

EU、英・独・仏・伊各国及び日本の国内政策の比較検討を

行う。この中でドイツと日本の産業界による自主協定の比較

も行う。日本については経済産学省や環境省の委員会による

目標達成シナリオについて検討を加える。次いでアメリカの

京都議定書離脱について論じ、科学と民主主義の矛盾をつく。

同 上 同 上


13

廃棄物問題

(拡大生産者責任

その1)

廃棄物政策の主流になりつつある拡大生産者責任(EPR)の

内容を説明し、2001 年発刊のOECD ガイダンスマニュアルの

内容と問題点を詳細に論じる。この中で日本において誤解が

多い処理費用「負担」問題と処理費用先払い・後払い問題の

関係についても論じる。

同 上 同 上


14

廃棄物問題

(拡大生産者責任

その2)

拡大生産者責任の日本への適用につき容器包装リサイクル

法、家電リサイクル法、資源有効利用促進法、次いで自動車

リサイクルを例に詳細に論じる。この中で容器包装リサイク

ル法については費用便益分析に触れ、家電リサイクル法につ

いてはEU との比較を行う。最後に従来の廃棄物政策で抜けて

いた点は何かを指摘する。

同 上 同 上


15 自由貿易と環境保護

環境政策が自由貿易の阻害要因となるケースが出ている。

環境条約非加盟国に対する貿易制裁措置と自由貿易の衝突が

その典型である。この他日本の温暖化政策やEUの廃電気電

子機器指令案を巡り、環境規制が結果として貿易障害となる

具体的事件が発生している。環境と貿易の両立をはかる方策

につき検討する。 環境政策が自由貿易の阻害要因となるケ

ースが出ている。環境条約非加盟国に対する貿易制裁措置と

自由貿易の衝突がその典型である。この他日本の温暖化政策

やEUの廃電気電子機器指令案を巡り、環境規制が結果とし

て貿易障害となる具体的事件が発生している。環境と貿易の

両立をはかる方策につき検討する。

同 上 同 上