HOME 2004/01/09 1648810.doc 1 = 計算力学(‘04)=( TV 〔主任講師: 矢川元基(東京大学大学院教授)〕 全体のねらい 我々が、自然界や・/FONT>もの・/FONT>の挙動を知るには、実験と理論とよばれる2 つの方法が使われている。 しかし、最近では、実験や理論の代りに計算機シミュレーションが用いられることが多くなった。計算力学とは、構造解 析や流体解析など力学解析のための計算機シミュレーションのことである。計算力学は、人工物の設計や自然の解明には、 いまや欠くことのできない手法となっている。 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
計算力学とは(1): 計算力学の役割 人工物を設計し、製造する場合には、つくられるであろう・/FONT>・/P> の挙動を事前に知っておく必要がある。計算力学は、そのた めのシュミュレーション手法である。また、台風や地震など、 自然に関する現象の多くについても計算力学によるシミュレ ーション手法が用いられている。ここでは、人工物にしろ自 然界にしろ、計算力学が現在世の中でどのように用いられて いるかについて議論する。 矢川元基 (東京大学大 学院教授) 矢川元基 (東京大学大 学院教授)
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計算力学とは(2): 手法の全体像 計算力学でカバーする領域は極めて広範である。この手法が、 いかなる内容と範囲を有しているかについての全体的な議論 をここではしてみよう。 さらに、第3回以後の各内容がどのような意味で計算力学を 構成する要素となっているかについて考えよう。 同上同上
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差分法(1):微分方 程式の差分近似 工学上の実用的な問題を解くためには、コンピュータによる 計算的手法が用いられる。もっともよく用いられる解法のひ とつが差分法である。ここでは、テーラー展開の考え方に基 づいて、本来は連続系である導関数や微分方程式を、とびと びに分割した問題に置き換えること(離散化)でコンピュー タの中に表現するという、差分法の基本的な考え方を理解し よう。 同上同上
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差分法(2):差分方 程式による求解 微分方程式で記述された連続体の問題は、差分近似によって、 空間的にとびとびに定義された未知変数に関する連立一次方 程式に帰着される。まず、この連立一次方程式の求解法(ソ ルバー)を学び、次に実際にポアソン方程式を解いてみるこ とで、差分法の精度や収束性について議論しよう。 同上同上
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有限要素法(1):基 本的な考え方(重み 付き残差法) 有限要素法は,差分法のように基礎方程式をそのまま近似す るのではなく,ある意味で「平均的に」基礎方程式を満足す るような近似解を計算する,重み付き残差法という手法に基 づいている。ここでは,実際にいくつかの古典的手法を用い て例題を解くことによって,重み付き残差法の考え方を理解 しよう。 同上同上 2004/01/09 1648810.doc 2 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
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有限要素法(2):理 論の流れ(1次元ポ アソン方程式) 有限要素法の最初の例題として,1次元ポアソン方程式を取 り上げる。基礎方程式から,重み付き残差法の考え方を用い て,有限要素法の定式化を行う。基礎方程式からの式の変形, 要素の作り方,連立一次方程式の組み立てまで,理論の流れ を理解しよう。 矢川元基矢川元基
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有限要素法(3):多 次元への拡張(2次 元ポアソン方程式) ポアソン方程式は,熱伝導問題や,電磁場解析など多くの工 学問題の基礎式となっているが,実用上,最低でも2次元解 析が必要である。ここでは,2次元ポアソン方程式の有限要 素法定式化を取り上げ,多次元問題への拡張法を身に付けよ う。 同上同上
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有限要素法(4):構 造解析への拡張(2 次元弾性問題) 有限要素法の重要な応用分野として構造解析(応力解析)が ある。弾性問題はその基本となる問題であり,すべての学習 者が理解すべき問題である。2次元弾性問題の有限要素法定 式化をとおして,いろいろな基礎式に対しても定式化が行え るような応用力を付けよう。 同上同上
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粒子的手法(1):物 体を粒子の集まり としてとらえる 差分法や有限要素法など格子や要素を用いる手法(格子法) に対して、物体を粒子の集まりとしてとらえ、個々の粒子の 挙動に注目する解法を粒子的手法と呼ぶ。粒子的手法にはさ まざまな解法があるが、それらの分類を通じて、前提となる モデル化の考え方、計算手法として優れた点、などについて 理解しよう。 同上同上
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粒子的手法(2):分 子動力学法とSP H 粒子的手法の具体例として、分子動力学法とSPHを紹介す る。分子動力学法では、物体を本質的に原子・分子の集まり としてモデル化し、これら個々の粒子の運動をニュートンの 運動方程式で記述する。一方、SPHでは、連続体をあたか も粒子の集まりであるかの如く扱えるよう離散化を工夫す る。 同上同上
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ソフトコンピュー ティング(1):計算 力学と知識工学と の融合 ニューラルネットワーク、ファジィ、遺伝的アルゴリズムは、 それぞれ、脳細胞、思考過程、生物進化をモデル化したもの で、ソフトコンピューティングあるいは知識工学的手法と称 される。これらを有効に利用することで、逆問題や最適化に おける問題解決能力の拡大、効率化を図ることができること を理解しよう 奥田洋司 (東京大学大 学院助教授) 奥田洋司 (東京大学大 学院助教授)
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ソフトコンピュー ティング(2):ニュ ーラルネットワー クを利用した逆問 題解法 まず、ニューラルネットワークがどのようなメカニズムで類 推や連想処理を行っているのかを理解しよう。そして、工学 上の実際の局面で遭遇するさまざまな逆問題を解くにあたっ て、従来の計算力学の枠組みを越えて、ニューラルネットワ ークのパターン認識能力をどのように役立てることができる かについて考えてみよう。 同上同上 2004/01/09 1648810.doc 3 回テーマ内容 執筆担当 講師名 (所属・職名) 放送担当 講師名 (所属・職名)
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大規模解析(1):並 列計算の基礎 近年の計算機の発達により,以前では考えられなかったよう な大規模な解析が行われるようになってきた。しかし,一つ の計算機だけで計算を行う場合の処理能力は限界に近付いて おり,現在,大規模解析というのは,複数の計算機を用いた 並列計算のことを意味している。ここでは,並列計算の基礎 概念を理解したい。 関東康裕 ( 豊橋技術科 学大学助教 授) 関東康裕 ( 豊橋技術科 学大学助教 授)
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大規模解析(2):並 列計算の実際 先端的な大規模解析は,優れたハードウェアとソフトウェア 技術の結合により実現されている。ここでは,世界のトップ レベルの研究を知ることによって,大規模解析の将来像を把 握しよう。また,身近な大規模解析の例として,PC クラスタ による計算例も紹介する。 同上同上
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計算力学の将来の 可能性と課題 計算力学はこれからもますます発展することが確実である。 しかし、並列計算機などのように計算機の多様化が進んでお り利用する立場としてもそれに対する新たな対応が必要であ る。また、計算力学はこれまで以上に複雑な問題に応用され つづけるであろう。これらの観点に立って将来を展望してみ よう。 矢川元基矢川元基