国際社会研究I（‘０５）

HOME 2004/11/15 8910219.doc 1 ＝国際社会研究I（‘０５）＝（TV）－開発経済学－〔主任講師：髙木保興（東京大学大学院教授）〕全体のねらい先進諸国と比較して生活水準が低い途上国では、農業開発や工業化によって高度成長を達成し、先進諸国へ追いつくことを最優先課題に位置づけている国が多い。ところが、債務危機や通貨危機、あるいは、グローバリゼーションや国際テロと内外に問題が山積し、なかなか順調な発展を遂げることができない。この講義では、途上国が直面する主要な問題を取り上げ、経済発展のための対策を議論する。回テーマ内容執筆担当講師名 (所属・職名) 放送担当講師名 (所属・職名)

１開発経済学の課題開発経済学が分析対象とする途上国の「貧困」の考え方や測り方を紹介すると同時に、この講義では主要な力点をどこに置くか、講義全体はどのように構成されているか、など、この講義の目的を明らかにしたい。髙木保興（東京大学大学院教授）髙木保興（東京大学大学院教授）

2 耕地の利用形態定率(あるいは、刈分)小作の非効率性とは何か、天候に左右される農業では、耕地の借地契約はどうなっているかなど、農業に不確実性と農民の働くインセンティブを導入して、耕地の利用形態を比較する。同上同上

3 農村共同体の相互扶助農村共同体に多く見られる相互扶助を保険としてみると、どのような議論ができるだろうか。市場経済化が共同体の紐帯を弱体化するなら、相互扶助に代わる安全網は考えられるだろうか。同上同上

4 インターリンケージ・ディール農村では、お金の貸借契約と労働雇用契約や農産物販売契約などが同時に締結されることが少なくない。なぜ、このようなインターリンケージ・ディールがなされるのだろうか。これによって貧しい農民は助けられているのだろうか。同上同上

5 マイクロファイナンス農村に民間銀行が積極的に進出しないのはなぜか。100 ドル前後の少額貸付の返済率が９割を超えるのはどうしてか。マイクロファイナンスは農村の貧困削減に威力を発揮しているのだろうか。同上同上 2004/11/15 8910219.doc 2 回テーマ内容執筆担当講師名 (所属・職名) 放送担当講師名 (所属・職名)

6 農産物価格と農民の組織化農産物価格は農民の生活水準に大きな影響を及ぼす。しかし、政府による介入政策は望ましい効果を期待できない。農民がより有利な価格で農産物を販売できるには、どのような試みが可能だろうか。髙木保興髙木保興

7 市場形成と工業化生活水準の向上は分業によって達成される。市場経済化と分業はどのように関係しているのだろうか。分業と工業化は密接に結びつくのだろうか。同上同上

8 工業化が意味するもの工業化とはどんな現象を指すのだろうか。工業化はどんな要因によって進展しているのだろうか。工業化を促進することは可能なのだろうか。同上同上

9 一極集中と環境問題途上国では、首都人口が異常に膨張している現象が多く見られるが、なぜなのだろう。人口集中は大気汚染や河川汚濁の主原因となりやすい。途上国の国内環境問題には、いかに対処すればいいのか。同上同上

10 農業と工業の相互連関一般には、農業と工業の開発政策はそれぞれ個別に考えられる。しかし、両者は互いに密接に関連しあっているから、両者を同時に考慮に容れられるようなマクロ政策が望まれる。同上同上

11 世界経済の変容第一次石油危機を契機として、世界経済は戦後の高度成長から低成長への局面へと転換し、生産的投資に使用されていた資金が株式や債券のようなストックに向かうようになって来た。国際的な資本移動の開始である。それは、途上国にどのような環境を提供しているのであろうか。同上同上

12 効率性重視の構造調整効率性を追求するにはどうすればいいだろうか。政府という経済主体は効率追求に適しているか。市場に任せば、総てうまくいくのか。経済の自由化政策は効果を発揮できるのであろうか。同上同上 2004/11/15 8910219.doc 3 回テーマ内容執筆担当講師名 (所属・職名) 放送担当講師名 (所属・職名)

13 資本移動と通貨危機通貨危機を引き起こす原因はどこにあるのか。なぜ、東アジアで通貨危機は発生したのだろうか。もう二度と深刻な通貨危機に直面することはないのだろうか。髙木保興髙木保興

14 政府の役割－（１）：「大きな政府」から「小さな政府」へ途上国政府に期待される役割は、どのように変化してきたか。戦後の世界的成長期に当然と考えられていた政府主導の経済開発は、どこに欠点があったのか。同上同上

15 政府の役割－（２）：制度とインセンティブ供与『東アジアの奇跡』では「賢明な政府」と評価されたのに、１０年も経たないうちに「無能な政府」と呼ばれるようになったのは、なぜか。これからの政府に期待される役割とは。同上同上--