カポー

ゲートをくぐると持ち物検査をされ、胸にいれておいた大事なライフワークの原稿が見つかってしまった。

「それだけは!」

だが帰って来た答えは「へへ、その言葉が大好きでな!」

原稿はその場で破られ、踏みつけられ永久に失われてしまった。

人生を棒にふった。自分の精神の子供とも思った原稿を失ったのだ・・・

ショックだったのは、看守はドイツ人ではなく、ドイツ人に取り入り仕事をもらった同じ民族だったことだ。

同じ収容された身でありながら、私たちによりつらくあたることで、カポーという職を維持しているのだ。

 

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