第二ショック段階
週に一度は、靴の焼却をやらされた。大量の靴の焼却を。
フランク:持ち主はどうしたのだ・・・・
分かっていたが、誰もそれを話題にしなかった。
囚人たちはしだいに個性を奪われ、ついに名前まで奪われ番号で呼ばれるようになった。
「ひとり」ではなく「ひとつ」の物になったのだ。
毎日何人か無くなっていったが、数字は、ひとつ消えようをなんてことはない。
最初にアウシュビッツの看板を見たときが第一のショックとすれば、これは第二のショック「感動の消滅段階」へと移行したのだ。
内面がじわじわと死んでいったのだ。
感情の消滅や鈍磨、内面の冷淡さと無関心。これら、被収容者の心理的反応の第二段階の特徴は、ほどなく毎日毎時殴られることにたいしても、なにも感じなくさせた。この不感無感は、被収容者の心をとっさに囲う、なくてはならない盾なのだ。