ロゴス
ある時、何日も行進させられた。ただ行進させられた。
何人もの仲間が倒れ、私も意識が朦朧として、倒れそうになった。
その時、眼前にエミリーが現れた。
幽霊か幻覚でも見ているのだろうか?そうではないようだ、心の想像の面影だ。
しかし、私の精神は驚くほど生き生きとした想像の面影によって満たされた。
私を、彼女の励まし勇気付けるまなざしがみつめる。私はエミリーと語った。彼女がほほ笑み答えるのを聞きいた。
「フランク、人生に何かを期待するのは、間違っているわ。逆よ。人生が貴方に期待しているのよ。」
ますます強く、そこにいて、まるで抱けるように、彼女は今すぐそこにいる。そこに。
その時、暗転の裂け目から差し込む一条の光の如く、私の脳裏に輝かしいスピリットが飛び込んできた。
エミリーに瞳の中にロゴスをみた。私は心の中で叫んだ。
「そうか、これこそが、人間の思想と詩とが表現すべき究極の意味だったのだ!」
愛とロゴスは同一のものだ。雪山での感覚ににていたが、もはやそれを越えていた。
我々人間は愛=ロゴスによって救われる。
カポーの「早くしないか。この豚犬ども」という怒号が飛び交う。
しかし、私の精神はエミリーと会話をしていた。
いや正確にいえばエミリーの本質とだった。
もはや彼女が死んでいるか、生きているかも関係なかった。
人間という存在は肉体の死によって消滅しない。
人間の本質は、肉体ではなく、生死を越えた「スピリット」である。
それは永遠に存在し、肉体は単に精神が物質次元に投影された影にすぎない。
究極の姿は、精神と一つの線でつながれたロゴスだ。