ビクトリア

ビクトリアのピアノは人の心を開かす力があった。

しかし、彼女自身は、なかなか心を開くことはなかった。


フランクは、それでも構わなかった。

「いずれ時が癒すだろう。僕は見守るのが役目なのだ。」

 

 

店は、2時にしまる。

フランク:やあ、今日も素敵なピアノをありがとう、もう上がっていいよ。

全ての客が帰ったあと、ビクトリアは、もう一度ピアノを引き始めた。

フランクにはすぐにわかった。彼女は今、自分の為に弾いているのだと

ビクトリア:いつも、フランクとここに来た人の会話を聞いていたわ。

どんなに励みになったことでしょう。

そして今日やっということができるわ。いつも変らぬ愛情を注いでくれるあなたへの誠意でもあるわ。

昔・・・・私は多くを失ったの・・・結婚しようとしていた人がいたの。でも急にいなくなって・・・・

もうそんなのは、二度といやで・・・まだ踏み出すのが怖いの。


フランクにはすぐに共感できた。それは以前自分も通ってきた道であるからだ。

そしてきっと彼女も大丈夫であろうということもわかっていた。


フランク:その人の過去の存在意味だけでなく、さらに未来にも存在意味を作ってあげられるのは、君だけだ。含んで超えなさい。
 

 

フランクは、僕は彼女を救うために今まで苦労してきたのだ。そう思えた。

きっと誰より、彼女に意味の自覚を開花させることができるだろう。

フランクは、書き終えた本を彼女に手渡した。

その本の最後のページにはプロポーズの言葉が書かれていた…