イオニアの魔力にとりつかれた私は、次に、心の世界に入った。フロイトでは病理研究にすぎず、行動主義心理学では、心をあまりに機械的に扱う。私が注目したのは、人間学的心理学というもの。それ以前の心理学は、「人間は低次元の本能に支配されている」という見かたをしていた。

しかし、最悪の面のみの観測による結論は人間の本性に関して歪んだ結論しか出せない。人は、生理的欲求や、安全への欲求や、金や名誉より、自己を超越して外界に尽くすという本能を元々もっていて、これが最高の欲求とした。