The 2nd Prism Project

 

 

 

 ニュートンはプリズムで光を分解してみせた。だが詩人ジョン・キーツらは、“虹の持つ詩情を破壊した”とニュートンを非難した。

これと同じことは現在も起こり続けている。

ニュートンがプリズムで光を7つに分解したように、知はバラバラに発展した。しかし機械的世界観だけでは、もう世界は継続できないほど疲弊している。

 実は分解された虹をもう一度プリズムに通すと元の光に戻る。バラバラにされた知と再統合する「2つ目のプリズム」が今私たちには必要なのです。

 

 さて、いきなりですが、下記の図を見てください。

 

 

一番外の白い輪は、時間の輪です。もちろん物理的には、時間は「輪」ではなく、「矢」です。

私たちは、宇宙の起源と生物の発生、進化の中で、この時間の矢の中を「無から有へ」→「有から生へ」→「生から知へ」へと辿ってきました。

それを「輪」で表現したのは、私たちは「私たちはどこからきて、どこへ行くのか」という問いを考える時、「知」により時間の中を縦横無尽に駆け巡ることができるからです。言ってみれば私たちの思考可能な時間です。

(司馬遼太郎が歴史を考える時、2千年以上の時間を生きているようなものだ-と言っているのと同じですね。)

 

黒地の部分は理知の光がまだあたらない原始の世界

カール・ポパーが「自我と脳」のなかで定義した、あらゆる存在あらゆる体験から成る3つの世界(世界1・2・3)です。

もう少し詳しく書くと下記のようになります。

 

世界1:物質的な物と状態

@無機的○宇宙の物質とエネルギー

A生 物○全生物=ヒトの構造と作用

B人工物○物質的基盤

   ヒトの創造性の、道具の、機械の、本の、美術作品の、音楽の

 

↓↑

 

世界2:意識状態

○主観的知識

○経験

 知覚、思考、情動、本能的意図、記憶、夢、創造的想像

 

↓↑

 

世界3:客観的意味での知識

○物質的基盤に符号化された文化的遺産

 哲学的、神学的、歴史的、文学的、芸術的、技術的

○理論体系

 科学的問題、批判的議論

 

光の3原色のベン図は、バラバラになった我々の知性そのものです。どの光も当たらないところは闇です。

 

ボナヴェントゥラは人間には3つの知識を獲得する目があるとしました。

空間、時間、物体からなる「肉の目」、

哲学、論理、そして心そのものに関する知識を得るさいに用いる「理知の目」 、

そして私たちがそれによって超越的リアリティーの知識へと上昇するところの「黙想の目」です。

 

現代は、すでに神はリアリティーを失ってます。しかし科学で人の心を救えるわけではありません。

それに変わる中心となるのが、「永遠の哲学」です。

上の3つは永遠の哲学の説く3つの主要な存在領域に対応しています。

赤:「肉の目」-----粗(肉体と物質)

青:「理知の目」---微細(心的および霊的)

緑:「黙想の目」----元因(超越的および黙想的)

 

それぞれの輪が重なり合うと木の葉型の黄色、黄緑、ピンクが現れます。

そして、3つの輪が重なる時、白の光=真善美が創発されます。

輪がインテグラルへ向かうほど、中心の真善美は大きくなります。輪が飛散すれば、真善美はなくなります。

 

「肉の目」「理知の目」までは、誰もが納得されると思います。

「黙想の目」には色々な意見があるでしょう。

これにはまさにイロイロあります。

ある人はスピリチュアルといい、ある人はトランスパーソナル、ある人は倫理、道徳、ある人は愛、ある人は、宇宙原理などともいうでしょう。

この「黙想の目」を導入するにあたって、注意事項があります。

「黙想の目」の単独先行は危険ですらあるということです。「狂信者」になりかねないのです。バランスよく常に3つの目を見開きながらインテグラルすることを忘れてはなりません。

 

 

 

 

この図は「そうありたい姿」であって、私たちがそうなっているわけでも、その道筋を示す答えでもありません。

 

 今は、インテグラルがきっと正しいだろうとぼんやり分かる程度です。その手法が具体的にあるのかどうかすら疑問といえます。しかし、個々の知を検証して、インテグラルしていうプロセスの中で、より高い配当を私たちは手にすることができると思います。

 


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モデル開発の経緯:MIXIのコミュより発生しました。

@2006年11月23日 01:46 http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=11034942

MIXIよりコミュ「トランスパーソナル心理学」のトピ「ほんもののスピリチュアリティー再び」で尾崎 真奈美さんよりいただいた、スピリチュアル、意志、喜びという「3因子」のアドバイスを契機に始まりました。

尾崎さんの言葉の後、光の3原色でモデル化するというアイデアは、すぐ私の中で独自に起こったものですが、数あるモデルの一つにすぎませんでした。光の色を採用したのは、ウィルバーの意識のスペクトルがベースになってます。この時点では、私はどちらかというと「3因子」には懐疑的でした。

 

その後尾崎さんのコミュ「スピリチュアルの学際研究」に参加させていただき多くのインスピレーションを受けることになります。

 

A2006年11月23日 12:05 http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=7576822

同コミュ、トピ「カテゴリエラー」で普段は埋もれているポパーに意識がフォーカスされました。

これが後のポパーの「世界1・2・3」の想起につながります。

 

B2006年11月23日16:59 http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=7576895

同コミュ、トピ「スピリチュアルの測定」を契機に、ウィルバーの「範疇錯誤と<前・超>の虚偽」を再読し、私の2つ目は、3つ目になりました。

http://kamakura.ryoma.co.jp/~aoki/paradigm/PreTrans.htm

 

C2006年11月23日 20:10 http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=7709534

「三つ目モデル」を書いている時に、尾崎さんの同コミュ、トピ「WILL、JOY,SENSEと光の3原色」を見つけました。

「アレ!光で書くところなど、私のとほとんど同じだ!」

この時霧散した1アイデアに過ぎない3色モデルに自信がついて、考えが収斂されました。

そして尾崎さんのモデルより背景の黒のアイデアを取り入れさせていただき、せっかくですから色の意味を一致させました。

 

D「真善美」をどのように取り入れるべきとコメントしたところ、「アゲペーとエロス」で尾崎さんがすでに取り入れていることを知りました。尾崎さんのモデルと真善美の位置が逆転してますが、同じものを中からみるか、外からみるかで完全に逆転して見えてるのと同じだと思ってます。

 

数度に渡り尾崎さんがインスピレーションの種となったのは、私に先立ってモデルを完成されていたからだと思います。ありがとうございます。

 

尾崎さんのモデルは学術誌に掲載済みのものです。

Manami Ozaki and Takeo Oku:A Model of Psycho-Educational Approach for Spirituality Types Divided by the 3 Factors of Will, Joy and Sense with the Principle of Primary Light Color:Journal of International Society of Life Information Science (ISLIS)124(2)2006 

 

 

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