K−T境界層

 

K−T境界層:白亜紀と第三紀の地質のあいだにある、1〜3センチの極薄い赤い粘土層。全地球規模でみられる。

このK−T境界層を挟んで地球環境は激変しており、そこで、恐竜も滅びている。

そしてK−T境界層を分析して驚くべき成分を発見した。イリジウムが通常の地球環境より、30倍〜450倍も多く含まれていたのだ。

この発見に、恐竜絶滅の原因を主にいろいろな仮説が出された。

1)地球近くで、超新星爆発があって、イリジウムが降り注いだ。

  これは、すぐに否定された。なぜなら、超新星爆発なら、プルトニウムなども検出されなければならないのだが、全く検出されなかったからだ。

2)巨大隕石激突:メキシコ湾付近にショックド・クオーツが多く発見されることから、この付近に隕石が落ちたとの説。(ショックド・クオーツは瞬間に巨大な圧力が加わった時に起こる水晶の変化。通常環境には存在せず、水爆実験の跡地などにしか、生成されない。)チチュラブ・クレーターがその最有力候補。

イリジウムも隕石落下であれば、説明がつく。

3)彗星シャワー:過去の絶滅は約2600万年周期でおこっている。隕石では全くのランダムであり、周期的なものとならない。

そこで浮上したのが、彗星シャワー説。

しかし、隕石は中まで、岩石でイリジウムを持つが、彗星は雪玉のようなもので、イリジウムをもっていない。

 

4)その後の研究で、イリジウムは、火山の溶岩に多く含まれ、ショックドクオーツも噴火のエネルギーで生成されている事実がわかった。

隕石落下説への反証のうち最も強力なのが、K−T境界層の上下に1mの間隔をおいて、2層づつイリジウム層があったこという点だ。しかもショックドクオーツの分布もこの複数層とピタリと一致する。この層の距離は約10万年分にすぎなく、直系10キロの巨大隕石が地球にぶつかるのは1億年に1回という確率なのに10万年おきにコンスタンスに計5回も衝突したことになる。

5)D”層浮上説:1988年に、これらをうまく説明する仮説が登場した。「D”層周期浮上説」だ。地球の中心部は固形だがそのすぐ回りは流動層があり、深いところからD”層とD’層となっている。

このマントルが熱エネルギーをため込んで、溶解し、比重が軽くなり、地表に浮上して、圧力を失い、一気に膨張し、爆発する。

この仮説であれば、イリジウム、ショックド・クオーツ、周期性の問題の全てをクリアできる。

この仮説にはもうひとつ強力な証拠がある。地球磁場にも北と南が逆転する周期性があるが、これを説明することもできるのだ。

そもそも地球磁場は、モーターの原理と同じように地球内部に回転、つまり対流があるからなのだが、この磁極が無い時期があり、これは、内部の対流が止まってしまっているからだ。

D”層が外核の熱により溶解し、内核との温度差が無くなることが、対流が止まる原因だ。

 

これが、大爆発の予兆だ。次にD”層が浮上してくるのは1万年後と試算されているが、対流による周期性は非常にカオティックだから、当てにはならない。

磁場に異常が生じたらその合図というのだが、どうしろというのか?

 

 

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